2018年(平成30年) 11月10日(土)付紙面より
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日本を代表する写真家の一人である森山大道さん(80)の作品を紹介する「森山大道写真展 酒田2018」が、酒田市の出羽遊心館で開かれ、モノクロの迫力ある作品が訪れた人に写真の魅力を伝えている。
森山さんは、代表作「三沢の犬」をはじめ、「アレ、ブレ、ボケ」といわれる独特の表現で街の情景を捉えたモノクロ写真で、欧米を中心に世界で高く評価されている。
今回は、酒田市出身で森山さんに師事したことがある東京都中野区在住の写真家・渋谷典子さん(65)と、同市みずほ一丁目のアマチュア写真家、茂木玲子さん(64)の2人が中心になり、森山作品の魅力を伝えたいと企画。代表作の「遠野物語」(1976年)、「光と影」(82年)、「遠野2014」(2014年)、月刊誌「アサヒカメラ」の特集で酒田の街を撮った「酒田行」(1981年)の各シリーズの計81点を展示した。森山さんの本格的な写真展は県内初という。
作品は全てモノクロで、子ネコを抱く少年や縁側にたたずむ老女、枯れたヒマワリ、泥だらけのブーツなど、どこにでもありそうな日常の一こまを切り取ったもの。しかし、例えば道に長い影が伸びた山里の風景は、傾いた日差しの強さや草の香りを含んだ風の冷たさまで感じられるような、臨場感あふれるもの。
渋谷さんは「森山さんは『(被写体を)凝視しない』と言っている。一瞬一瞬をそのまま切り取るリアリズム。空間の広がりや、森山さんの精神の中に入り込んでいく感覚がある」と、森山作品の魅力を説明。茂木さんは「モノクロ写真は、若い人には新鮮に、年配者には懐かしく見えるようで、来場者の中には『カラーを超えた』と言う人もいる。多くの人に見てほしい」と話した。
展示は18日まで。時間は午前10時から午後6時(入館は5時半)まで。月曜は休館。入場料は一般500円、高校生以下は無料。11日午後2時からは渋谷さんがトークを行う。12日以降は午後2時から、森山さんが今展示会に寄せたインタビュー映像も流す。