2018年(平成30年) 12月2日(日)付紙面より
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鶴岡市内の県立高校再編をめぐり、県教育委員会が設置した関係者懇談会(座長・小川雅子山形大地域教育文化学部教授、委員7人)の最終会合が30日、同市第三学区コミュニティセンターで開かれ、懇談会の意見をまとめた。鶴岡南と鶴岡北の両校を統合し、2024年度までに併設型中高一貫校を設置する県教委の再編整備計画案に対し、「進路選択の幅が広がるなど、賛同する意見が多く出た」とする一方、地元中学校の学級減、部活動の維持などに影響し不安が残るといった意見も挙がった。
懇談会は、昨年10月に県教委が示した再編整備計画の骨子案に対し、「十分な理解が得られていない」として設置。地元の小中高校、PTA、行政関係者らで構成し、8月から4回の会合を開いた。
まとめられた意見では、鶴岡南と鶴岡北の統合については、「生徒数の減少を大きな要因として統合はやむを得ない」とした。一方で、統合を進めるに当たり▽両校の伝統、特色ある活動、地域に果たしてきた役割などを継承する▽どのような学校にしていくか理念をしっかり検討する―といった意見も盛り込んだ。中高一貫校に関しては「賛同する意見が多い」としつつ、周辺中学校に波及する影響への懸念とともに、▽学級減となる中学校へは生徒に不利益が生じないよう特例的に教員を加配する▽中高一貫校でどんな学びができるのかなど、時間的余裕を持って児童・保護者に分かりやすく提示する▽鶴岡市以外の地区の声も聞き、地域に根差した学校づくりを進める▽校舎改修に最大限努力する―といった要望も盛り込んだ。
既存施設を活用する「校舎制」導入による加茂水産、庄内農業の鶴岡中央への統合については、「定員割れなどの事情により、やむを得ない」とする意見が多く出された。庄内地域の産業振興のため水産と農業の専門性の保証、6次産業化に向けた多様な学習プログラムの提供、生徒や教員の移動などへの配慮、実習施設で学ぶ時間を多くする、水産科へは庄内以外から生徒が集まるように寄宿舎整備の検討などの指摘もあった。
県教委は懇談会以外にも鶴岡市内の中学、高校、各高校同窓会、高等教育機関、産業団体などの関係者から意見の聞き取りを行った。12月末までには中高一貫校設置に関し庄内5市町に意見を求めており、こうした意向調査も踏まえ最終的な方針を決める。時期については未定としている。