2018年(平成30年) 12月6日(木)付紙面より
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鶴岡市は4日、2016年10月に閉館した同市千安京田の県有施設・旧いこいの村庄内の施設を活用し、新たに農業の担い手育成を目的とした研修拠点施設を設ける方針を示した。農業に関心を持つ首都圏の若者が共同生活しながら2年間、農業の基礎技術や経営ノウハウを学ぶ施設とし、研修終了後に市内に定着して農業の担い手となることを想定。2019年度に施設を改修し、20年度からの受け入れを目指す。同日開会した市議会12月定例会で皆川治市長が明らかにした。
閉館後に遊休施設となっている宿泊施設の旧いこいの村庄内については今年2月、地元の湯野浜温泉や鶴岡商工会議所から、市の取得による施設の活用の要望があり、活用方策を検討していた。滞在型研修施設として活用するため、宿泊用の客室を居住用に改修する。
農家の高齢化や離農の増加で、基幹産業の農業の担い手不足が大きな課題となる中、親元就農など地域内からの確保だけでなく、地域外から新規就農者を呼び込む地方創生の新たなモデルとなるような取り組みを進める。地元農業者も研修を受けられるようにし、交流を通じて互いの営農意欲の喚起や経営力の向上につながる相乗効果も期待する。
実際の研修には民間のノウハウの活用も検討しており、市内のJAや山形大農学部などの関係機関、民間企業と人材育成に関する協定の締結も視野に入れる。研修のための奨学金制度の創設、就農時の機械導入支援なども検討し、独立就農や雇用就農などで定着できるよう市独自の支援策の充実も図る。拠点施設整備に関する財源は国の地方創生交付金の活用を想定。
市議会の総括質問に対する答弁で、皆川市長は「域外や農外からの新規就農者が年平均7人にとどまっている。関係機関と連携し、域外や農外からの新規参入の受け入れ拠点となる人材育成拠点施設とし、研修後は地域農業の一翼を担う農業者として活躍してもらうことを期待している」と述べた。