2018年(平成30年) 12月7日(金)付紙面より
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県建具組合連合会(石山孝次郎会長)による出前講座が5、6の両日、遊佐町の遊佐中学校(加藤博之校長)で行われ、2年生計105人が講話聴講、木製スタンド製作などを通し、日本家屋を華麗に彩る建具への理解を深めた。
住宅の洋風化に伴って木製建具業界は低迷し、製作技能者の減少、特に若手の絶滅が懸念される中、若い世代から伝統工芸・建具の魅力を理解してもらい、技能者としての芽を育てようと、県内14の建具店・工務店で組織する同連合会が県の「地場産業等振興事業(後継者育成事業)」を活用し初めて企画した。
講座は東北芸術工科大プロダクトデザイン学科の早野由美恵准教授(インテリア、 空間デザイン)の講話、地元職人の指導による木製の写真スタンド製作の2本立て。5日に行われた3組25人に向けた講座では最初、早野准教授が「未来に残そう山形の技術」と題して講話、欄間や障子を華麗に彩る日本家屋の装飾「組子」に関しスライドを用いて紹介、「この技術は今、無くなろうしている。残さなくてはいけないという人がいたら、どうしたらよいか考えて」などと述べた。引き続き福増建具店(遊佐町増穂)の高橋岸夫さんら3人、川越建具店(鶴岡市美原町)の川越雪雄さんが講師となり、連合会で用意した部材を組み立ててスタンド製作。生徒は「ものづくり」の楽しさを味わっていた。
会場となった技術室内には、高橋さん、川越さんが手掛けた組子による製品も並び、生徒たちは興味深げに見入っていた。同連合会事務局長を務める小林一清さんは「技術を次世代に継承するため、若い世代から建具に目を向けてもらいたい」と話した。来年2月には山形市内の中学校でも同様の講座が行われる。