2018年(平成30年) 12月7日(金)付紙面より
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酒田市立光丘文庫(岩堀慎司文庫長)は、今年4月から作業を進めていた「光丘文庫デジタルアーカイブ」を完成させ、インターネット上で公開を開始した。同文庫が所蔵する江戸期から昭和期までの酒田の絵図や古地図など、精密画像56点を含む約800点の画像をデジタル化したもので、併せて江戸・慶長年間(1596年―)から昭和62(1987)年までの市史年表もデジタル化し、公開している。
光丘文庫(日吉町二丁目)は1925(大正14)年に建設された。本間家から寄贈された和漢書を中心に資料約21万点を所蔵しているが、老朽化が著しいため2016年8月から休館し、資料は中町庁舎5階で公開している。
今回の事業は、市民にも比較的親しみやすい絵図などを高精度で撮影してネットで公開することで、郷土史への関心を高め、同施設の存在を全国発信する狙い。4月から専門業者が江戸・明暦2(1656)年作で現存する酒田市街図では最古という「酒田町絵図」(市指定文化財)をはじめ、江戸期から昭和期までの酒田の絵図や古地図など56点を、8000万画素のカメラで解像度300dpiという高精度で撮影。そのほか古写真や絵はがきなどの画像、計約800点をデジタル化する作業に取り組んだ。また、市史年表の約5000項目を、指定した文字列を網羅的に検索できる「フルテキスト」でデジタル化する作業も進めていた。
デジタル化された画像や年表などは今月3日から、歴史的資料のデジタル化を手掛けている「ADEAC」(東京都)のサイトで公開を始めた。
トップページには「光丘文庫所蔵資料」「酒田の地図・絵葉書・写真」「酒田市史年表」の3つの入り口があり、さらに例えば光丘文庫所蔵資料は「人物」「書物」「地図」「建造物」などの項目別に公開。古地図などは手書きの小さな文字もはっきり映るよう拡大して見ることができる。年表は年ごとの出来事を読めるほか、「火事」「水害」「港」など7項目別の年表もある。利用者が自由に文字列を指定して検索し、関連事項を抽出することもできる。
岩堀文庫長は「郷土史に関心を持つ入り口として、市民や県外者らに気軽に酒田の古文書に親しんでもらいたい。そして、中町庁舎に来て、現物も見てもらえればなおうれしい」と話している。同文庫では幕末から明治期に活躍した博物学者・松森胤保が地元の動植物を記録した「両羽博物図譜」(県指定文化財)など貴重な資料も公開している。
ADEACのサイトは、市立図書館のホームページとリンクしている。問い合わせは光丘文庫=電0234(22)0551=へ。