2019年(平成31年) 1月23日(水)付紙面より
ツイート
庄内地域における喫緊の課題である若者の地元定着促進策について考える「庄内若者定着促進シンポジウム―存亡の危機を乗り越えるために」が21日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれ、約200人が参加。パネル討議では、高校生の進学先として国公立大の人気が高くなっているという現状を踏まえ、東北公益文科大(同市)の公立化などの促進に向けた意見が多く出された。
シンポジウムは、庄内開発協議会(会長・丸山至酒田市長)、昨年7月の結成以来、若者の地元定着率が県内4地域で最も低い庄内地域の向上策に取り組んでいる「庄内若者定着促進会議」、フィデア総合研究所(山形市)が開催した。
2部構成で行われ、最初にフィデア総研の伊藤兵一社長が「庄内の若者定着について考える」と題し基調講演。伊藤社長は冒頭、庄内地域における2045年までの人口推移や人口指数、コーホート(同年代)変化など具体的なデータを示して人口動態を解説。特にコーホート変化で10代後半―20代前半の地域外流出が突出している点を危惧、「庄内の人口減少数の4割を占める」と指摘した。
若者の地元定着に向けて「保護者世代が地元で生活することに魅力と誇りを感じる必要がある。同時に子どもの成長過程で学力に偏らない価値観、Uターンを受け入れる柔軟さが保護者、地域に求められる」と話した。そして高等教育機関の役割に言及し「教育、研究、社会貢献を通して『庄内好き』を醸成する取り組みを活発化させなくては。取り組みを継続するためには安定した経営基盤・組織基盤が欠かせない」と紹介した。
引き続き伊藤社長の司会で、諸原正巳飽海地区高校校長会長(県立酒田東高校長)、田中芳昭鶴岡市教育委員、上野隆一出羽商工会長、渡部敦酒田商工会議所青年部直前会長、佐藤香奈子NPO法人元気王国理事長がパネル討議。卒業生の県内定着率が約5割と高い上、昨春には251人が入学した公益大の公立化を求める声が上がり、「公立化で地元からの入学者をより増やし、さらなる地元定着につなげたい。地域存亡の危機だけに、次代を担う人材の育成にお金を惜しんではいけない」と。この他に「庄内にも力のある企業が多くあるが、情報発信が整っていない」「庄内は一つ。各市町が持つ強みをもっと活用すべき」「進学校に対して、もっと地元企業の情報を届けて」といった意見が出された。