2019年(平成31年) 2月20日(水)付紙面より
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発達障がい児のこれからを考える講演会が16日、鶴岡市総合保健福祉センターにこ・ふるで開かれ、講演を通じて発達障がい児の支援で大切なことや、発達の芽を個性豊かに伸ばす療育について理解を深めた。
児童発達支援や放課後等デイサービスを全国展開するこどもサポート教室「クラ・ゼミ」(全国160余)の県内3カ所目の鶴岡校(阿部哲也管理者)が昨年11月に鶴岡市神明町に開校。講演会は鶴岡校が主催(荘内日報社など後援)し開いた。一般社団法人発達支援研究所所長の山本登志哉さんが「発達障がい児支援で大事な事?生きるための居場所づくり、成長への足場づくり」、クラ・ゼミ青森統括責任者の鈴木美恵さんが「一人で抱え込まない子育てについて?発達の芽を個性豊かに伸ばす療育」の演題で講演。保護者や保育、教育機関の関係者ら約100人が聴講した。
このうち山本さんは療育支援の基礎となる生きるための居場所づくり、成長への足場づくりについて、主な足場となる家庭や親子関係の視点を中心に解説した。
ASD(自閉症、アスペルガー症候群)やADHD(注意欠陥多動性障害)、SLD(限局性学習障害)などの発達障がいが気になる子どもを持つ親と子の関係について、「親はことばの遅れや一緒に遊べないなどの就学前の悩みを出発点に、学齢期や義務教育以降などそれぞれの時期で悩みを抱える。子どもが周囲の定型的期待や要求に応えられない焦りや、親のずれた期待が親自身のいら立ちと不安を生み、応えられない子どもは自信がなくなり、ますますつらくなっていく」と、合わない期待がもたらす悪循環を説明。子どもは持って生まれた特性の一次障がいから、理解されない、拒絶される経験の積み重ねにより否定的な自己評価に陥り、うつや引きこもり、自傷や他傷などの二次障がいに陥ると解説。「二次障がいを生まないための居場所づくり、足場づくりが一番大事」と指摘した。
発達障がいは人の特性の一つという事例を紹介しながら、「もともと違う感性を持った子どもが定型になれと言われるのは、羽根がないのに空を飛べと言われるようなもの。目指すのは定型発達者ではないということ」と述べ、「間違っていると否定せず、どうしてそう思うのか聞いてみる。するとおもしろい答えが返ってくる。肯定されることで、子どもが変わってくる。すると親も変わってくる」などとアドバイスした。そして「子どもに合った期待による好循環が生まれれば、大人になった後の柔軟性に違いを生む」と力説した。
クラ・ゼミ鶴岡校では学習・療育相談会を行っている。問い合わせは同校=電0235(64)1118=へ。