2019年(平成31年) 2月23日(土)付紙面より
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酒田市在住の元小学校教諭が、現役教師を支援する「ティーチャーズ・サポート・センター」(TSC)を自宅に開設し、定期的に地元の若手教師らを対象に自主的な研修会を開き、現職時代に学んだ教育カウンセリングの技法を中心に、子どもたちと関わる実践的なノウハウを指導している。
開設したのは、2017年3月に酒田市の富士見小教諭で定年退職し、現在は同市の教育支援員として市内の小学校で特別支援学級をサポートしている御舩則子さん(62)=同市大町。
御舩さんは、スクールカウンセリング推進協議会のガイダンスカウンセラー、日本教育カウンセラー協会の上級教育カウンセラーなどの資格を所持。現職時代は子ども同士のトラブルや学級崩壊、発達障害児への対応などに積極的に関わってきた。近年、子どもとの関係で悩む教師が増える一方で、地元にはそうした対応を学ぶ場がほとんどないため、自分が習得したノウハウを還元したいとの思いを強めていたという。
そこで退職を機に17年5月、TSCを開設。夏・春休みを除いて月1回、年間8回の自主研修会を開き、主に教育カウンセリングの知識と技術を指導している。本年度は県教育カウンセラー協会の助成事業に採択されたこともあり、参加費は茶菓の実費として一人200円という、ボランティア的な取り組みだ。
今月16日に開かれた研修会は本年度8回目(最終)で、庄内地方の20、30代の小・中・高校の教師を中心に8人が参加。対話を通じて主体的な学びを深める「アクティブラーニング」を支えるカウンセリングについて、初めに御舩さんが講話した。引き続き、同様に教育カウンセラーの資格を持つ温海中教務主任の青梨努さんが、「太陽の南中」をテーマにした中学3年の理科の模擬授業を行いながら、「学習態度には介入するが、学習内容には介入しない」など、主体的な学びを引き出す実践的なノウハウを指導した。
御舩さんは「例えば子ども同士のトラブルの際、かつては握手をさせ『もうしない』と約束させて終わりといった対応が多かったが、それでは双方に不満が残り、教師への不信が募るだけ」という。その上で「子どもはどうしたいのか、そのためには何をすべきかを一緒に考え、子どもに選んでもらう。生きる主体は子どもであり、決定や実行は本人にしかできない。教師がそうしたサポートをするには、一定の知識が必要。自分のできる範囲内で、若い教師らにそうしたノウハウを伝えたい」と話す。
研修会は今後、5月に再開の予定。問い合わせは御舩さん=電0234(26)3556=へ。