2019年(平成31年) 4月18日(木)付紙面より
ツイート
山形大学農学部(林田光祐学部長)は、農林水産省が推進する「農業女子プロジェクト」の「チーム“はぐくみ”」にパートナー校として加入した。国立大学としての参加と、東北6県での加入はいずれも初という。鶴岡市の同学部で16日、加入に向けたプレゼンテーションがあり、学生や県内で活躍する農業女子らが交流した。
同プロジェクトは、2013年からスタート。農業内外の企業・団体と連携しながら、女性農業者の存在感や経営力の向上・発展、若い女性の職業選択肢に農業を加える―を目指す。自動車メーカーとコラボした女性目線の軽トラック開発などが展開されている。メンバーは3月末現在、全国で740人。本県では県内の女性就農者でつくる「やまがた農業女子ネットワーク」が2月に発足し、学習会や情報交換などを通して地域農業活性化を目指して活動している。
「はぐくみ」は、「職業選択肢に農業を加える」のミッション実現に向け、教育機関と活躍する農業女子の魅力を結び付け、農業を志す学生の発掘や動機付け、意識の向上のための取り組みを行う。
山形大学農学部は全国7校目として3月29日に加入。同学部の食農環境マネジメント学コース2年次の必修授業という位置づけ。2年生17人(男性9人、女性8人)や興味を持った学生や大学院生合わせて6人も加わる。具体的な活動は未定だが、農業女子メンバーが講師を務めるワークショップや、インターンシップ、学生のマルシェへの参加などさまざまな連携を模索していく。
加入後初の活動の場となったこの日のプレゼンテーションでは、同学部の小沢亙教授(食農環境経済学)が「期間農業従事者の約4割が女性」「同居農業後継者のうち女性は1割を切る」といった現状や「女性が農業経営に参画するメリット」などを説明。「農家出身ではないものの農学部に興味があるという貴重な学生たちに、現場を早く見せたい。今後大学が重視している地域との連携の良い機会になれば」と期待を込めた。
東北農政局の担当者は「事務局として行政の立場から支援したい。若い人のアイデアを学校を通じて寄せてもらえれば」などと話した。
一連のプレゼンが終わった後は、将来の夢を語り合うワークショップで懇談。同学部2年の鈴木理湖さん(19)は「だだちゃ豆の白山出身。農家ではないが、現場の高齢化を目の当たりにしてきた。将来は、就農者の増加や6次産業発展の支援に取り組みたいと考えているので、農業女子の方々からいろいろ学べれば」、農業女子のメンバーで同市渡前の井上農場ポン菓子部長の井上夏さん(37)は「若い人の発想に期待。商品開発やマルシェなどで協力してもらいたい」と話した。