2019年(平成31年) 4月23日(火)付紙面より
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鶴岡市馬場町のタブの木広場に、明治維新の立役者の一人で庄内とつながりの深い西郷南洲(隆盛)翁の尊顔をあしらったレリーフが建立され、21日に除幕式が行われた。鶴岡ロータリークラブ(RC、武田啓之会長)が、クラブ創立60周年記念事業の一環で制作したもので、同RCが30年前に建立した「敬天愛人」碑のそばに、南洲翁の顔のレリーフ像が新たに加わった。
南洲翁のレリーフ像は、鶴岡RCが同市上畑町出身の彫刻家、加藤豊さん(70)=さいたま市在住=に依頼し制作した。レリーフはブロンズ製で、加藤さんが南洲翁のさまざまな肖像画や東京・上野にある西郷像をモチーフに制作。縦80センチ、横60センチの楕円(だえん)形で、立体的な浮き彫り細工で仕上げた。このレリーフを高さ約2メートル、幅約1メートル、厚さ約20センチの白御影石にはめ込み、「西郷南洲翁像」として建立した。
タブの木広場には、鶴岡RCが創立30周年に建立して鶴岡市に寄贈した南洲翁の遺訓「敬天愛人」碑があり、碑の脇に新たに建立した南洲翁像も60周年記念で同市に寄贈した。
除幕式には同RC会員や鶴岡市などの関係者約50人が出席。皆川治市長、旧庄内藩酒井家第18代当主の酒井忠久致道博物館長、南洲翁と「徳の交わり」を結んだ菅実秀の子孫の菅秀二さん、水野貞吉荘内南洲会理事長、制作者の加藤さん、武田会長の6人が除幕した。白布が外され南洲翁のレリーフが現れると、出席者から「おー」「素晴らしい」と歓声が上がった。
武田会長は「南洲翁は庄内の大恩人。昭和から平成に代わる時に敬天愛人碑が建立され、平成から令和に代わるタイミングでレリーフが建立されたのも何かの縁。徳の交わりから1世紀半になるが、あらためてこの地の歴史に思いをはせるきっかけになれば」とあいさつ。皆川市長は「今年、鶴岡市と鹿児島市の兄弟都市盟約50周年を迎える、新たな時代を迎える中で、次代の子どもたちに歴史を伝える素晴らしいレリーフに感謝する」。酒井さんは「南洲翁遺訓をはじめ、南洲翁の心を受け継ぐレリーフができたことを、とても喜ばしく思う」と述べた。
加藤さんは「立体的な厚みが出るよう努めた」など制作過程を紹介した。