2019年(令和1年) 5月11日(土)付紙面より
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日本で唯一ユネスコ食文化創造都市に認定されている鶴岡市で9日、欧州を中心としたミシュランガイド二つ星シェフや食分野のクリエーターらが食文化を学ぶ研修プログラムが始まった。13日までの日程で、鮮魚の鮮度保持や発酵食・保存食としての在来作物を利用した漬物、出羽三山の精進料理、山菜採取と調理、畜産など鶴岡の食文化を多面的に学ぶほか、シェフらが参加する公開イベントが展開される。
同市などで日本の食文化を国際的に学ぶ研修プログラムを展開している「GEN Japan」(東京)などが鶴岡食文化創造教育実行委員会(齋藤由佳子委員長)をつくり、初めて企画。オランダ、スペイン、フランス、ベルギー、ロシアなど海外7カ国から20―40代のシェフ6人と欧州のフードジャーナリストら計9人が参加した。
参加者は7日に来県し、山形市や天童市で発酵食品について学んだ後、鶴岡を訪れた。初日は鶴岡市加茂の県水産試験場で鮮魚の鮮度保持について理解を深めた。同試験場の研究員からマダイを使った神経締め、熟成期間による食味の違いなどの説明を受け、神経締めの手順や鮮度保持の科学的根拠、うま味の違いなどについて活発に意見交換。神経締めの道具に強い興味を示し、「どこで購入できるのか」「海外でも入手できるのか」と研究員に盛んに質問していた。
公開イベントは10日に荘内銀行の本店ホールで特別カンファレンス(講演)「食のクリエイターの多様な社会的ミッション」を開催。11日には市総合保健福祉センターにこ・ふるで「こども食堂特別編 アートな食の盛り付け教室」、研修に参加しているシェフによるチャリティーディナー(グランドエル・サン)がある。ディナーは市内の企業・団体でつくる実行委員会が主催し、収益は鶴岡食文化創造教育実行委が鶴岡で実施する食文化教育関連の活動に役立てる。ディナーには県外を含め約90人が参加する。
鶴岡での研修に先立ち9日午前、グランドエル・サンで参加者らが会見した。今回のプログラムの呼び掛け人となったポーランドの広告代理業者、モニカ・ビエジツカさん(47)は「昨夏に鶴岡の研修プログラムに参加し、食材と食文化の多様性が強く印象に残った。世界のシェフたちが鶴岡で未来の食文化の可能性を追求できると期待している。併せて鶴岡の食文化を世界のメディアで発信されることを期待する」と語った。