2019年(令和1年) 5月24日(金)付紙面より
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鶴岡第五中学校(山口幸一校長)の1年生100人余が22日、地域学習の一環で、日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に追加認定された鶴岡市の構成文化財「加茂港周辺の町並み」をテーマに学んだ。
同校では地域に根差した総合学習「たかだて学習」の中で、学区内の環たかだて地域の魅力発信や、地域発展を図る企画、地域を担う人材育成などを目的とした探求型学習「たかだてカンパニー」に取り組む。
体験学習の初日のこの日は、午前中20班に分かれて各地区のコミセンなどを訪問して現状を取材。昼すぎから学校に戻った後、鶴岡市史編纂(さん)委員で、高館山や加茂周辺でのフィールドワークを続けてきた升川繁敏さん(64)=鶴岡市稲生一丁目=から加茂の日本遺産について聞いたほか、山形大農学部の江頭宏昌教授の講話で「地域の魅力発信と在来作物」も学んだ。
升川さんは、北前船航路の起こりや加茂港の変遷について、史料や当時の時代背景と関連させながら解説。荷物の運送や、海運業者と荷送り人との仲介を果たすなどした加茂の船問屋の取引内容や規模を踏まえて「江戸末期には毎月大小合わせて200隻が輸出入で寄港した」などとにぎわいぶりを紹介。明治時代における通信技術や鉄道・陸路の発達、日露戦争による日本海の治安悪化など北前船衰退の背景にも触れた。最後に「地域に目を向けて、これから港をどう生かすかを考えてもらいたい」と呼び掛けた。佐藤孝太さん(12)は「大山小での調べ学習を通して二重構造の立派な蔵が加茂に残っているのは知っていたが、まだまだ知らないことがたくさん。いろいろ調べて魅力発信していきたい」と話した。
生徒たちは今後学んだ内容をポスターにまとめ、6月に発表会を開く予定。