2019年(令和1年) 6月15日(土)付紙面より
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酒田市などが舞台になり、世界的な人気を誇るNHK連続テレビ小説「おしん」をテーマにした人形ギャラリーが、同市の山居倉庫にある酒田夢の倶楽(くら)「華の館」に開設され13日夕、現地でオープンセレモニーが行われた。
夢の倶楽を管理・運営している酒田観光物産協会(会長・弦巻伸酒田商工会議所会頭)が、インバウンド(訪日外国人旅行)の推進に向けて開設した。
「おしん」は、初回放送時(1983―84年)の最高視聴率が62・9%といまだにテレビドラマでは史上最高の記録。世界約70カ所で放送されているが、地元ではもうブームは去った感があった。しかし弦巻会長が昨年6月、中国・大連に行った際、「酒田と言えば『おしん』」とおしんの話題で持ちきりになったなど、アジアを中心に世界ではいまだに絶大な人気があることに注目。外国クルーズ船の酒田港寄港など地元でもインバウンド推進の機運が高まる中、人形を通じあらためて「おしんの里・酒田」をアピールしようと思い立ったという。
弦巻会長の熱い要請を受けて人形を制作したのは、山形市陣場一丁目の人形作家・大滝博子さん(61)。昨年11月から約7カ月間をかけ、子守りをする幼少期のおしんや家族、奉公先の人など高さ20―40センチ程度の約30体を制作。酒田市芸術文化協会の工藤幸治会長が描いた鳥海山の背景画や、地元の建築家が作ったミニチュアの民家などと組み合わせ、「最上川 家族との別れ」「おしんの生家」「酒田での奉公」など4テーマのジオラマ作品などに仕上げた。
この日のオープンセレモニーで、あいさつに立った弦巻会長は大連での体験などギャラリー開設の経緯を紹介し、「多くの人の協力で今日のオープンを迎えることができた。今後、酒田の場面を充実し、世界に発信したい」と述べた。「おしん」の放送当時、酒田に住んでいたという大滝さんは「第二の故郷に自分の人形が飾られるのは光栄。おしんや家族の気持ちになりきりたいと、脚本や多くの資料を集めて読み、心を込めて作った。多くの人に見てもらえたらうれしい」と語った。偶然、会場に訪れたイラン出身の男性は「おしんは大好き。いつか日本に行ったり、おしんに会いたいと思っていた。今日は幸運で、涙が出そう」と感激した様子で語った。
「華の館」は入館無料。問い合わせは酒田夢の倶楽=電0234(22)1223=へ。