2019年(令和1年) 6月23日(日)付紙面より
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庄内沖を震源とした地震から4日目の22日、震度6弱の揺れで広い範囲で被害のあった鶴岡市の温海地域などに、破損した家屋の屋根瓦や倒壊したコンクリートのブロック塀など災害廃棄物の仮置き場が設置された。温海地域ではこの日午前中、時折強い雨が降る梅雨空の下、雨具を着た住民たちが自宅の片付けとともに破損した屋根瓦などを仮置き場に車で運ぶ作業が続いた。
仮置き場は被害の大きかった温海地域が▽小岩川広場(小岩川集落対象)▽早田公民館脇広場(早田集落対象)▽平佐浜野積場(鼠ケ関、鍋倉、小名部の各集落対象)▽旧消防温海分署跡地(温海地域対象)―の4カ所あり、ほかに市全域を対象にする大泉地区の岡山最終処分場の計5カ所設置した。
7月31日(水)まで午前9時―午後4時の時間帯で、屋根瓦、コンクリートがら、廃材(木くず、金属くず)、可燃物(布団、畳など)、家電製品、その他の災害ごみを受け入れる。この日午前、旧消防分署跡地に破損した屋根瓦を軽自動車で運んだ大岩川の中村松吉さん(85)は「2階屋根の頂上の長さ7メートルの棟が崩れてしまった。市に相談し業者から片付けてもらい、ブルーシートで覆ってもらい助かった。運ぶのは自分でやらねばと思い、軽自動車で何度も往復する」と話した。
市社会福祉協議会は温海福祉センター=電0235(43)2114=と、市ボランティアセンター=同(23)2970=で、災害ごみや室内の片付けが困難な被災者からのボランティア支援の相談を受け付けている。22日には男性2人が湯温海地区の市営住宅で室内片付けの活動を行った。
同市が本庁舎建築課と温海庁舎産業建設課に開設した住宅被害相談窓口には19―21日の3日間で、計92件の相談が寄せられている。市は被災者からの罹災(りさい)証明申請に対応するため、25日(火)―27日(木)に被害の大きかった温海地域の小岩川、浜中、鍋倉の全308世帯を対象に被害状況調査を行う。外観から状況把握する1次調査で、県内の市長会や東北市長会などを通じて職員派遣を要請し、10班計30人態勢での調査を予定。7月8日までには交付可能とする。他の地域については申請に基づき個別対応する。
一方、ホームの損壊で列車の通過駅となっていたJR羽越本線の小岩川駅は22日、始発から利用が再開された。
復旧へ「きめ細かに対応」 吉村知事が被災地視察
吉村美栄子知事は、本県沖を震源とする地震発生から3日後の21日、被災した鶴岡市沿岸部の視察に初めて訪れた。皆川治鶴岡市長や漁業者、住民の要望を受け、「関係機関と連携を取りながら、政府の事業や県単独の災害復興事業を活用するなどきめ細かに対応していきたい」などと述べた。
県の佐藤仁喜弥防災くらし安心部長、駒林雅彦農林水産部長、早坂浩也県土整備部整備推進監、沼澤好徳庄内総合支庁長、鈴木仁同産業経済部長、後藤仁司港湾事務所長ら合わせて約20人と共に同日午後4時半すぎに現地入り。▽荷揚げ場などでアスファルト陥没・亀裂のあった鼠ケ関港▽家屋屋根瓦落下や雨漏りなどで被害を受けた小岩川地区▽港の岸壁などに亀裂が生じるなどした米子漁港―の3カ所を視察。
皆川市長からは、被災港湾・漁港施設の早期復旧や、罹災(りさい)証明発行に係る家屋調査の職員派遣、家屋修繕の金融支援などを盛り込んだ緊急要望書が手渡された。