2019年(令和1年) 7月17日(水)付紙面より
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タイ国際航空(本社・バンコク)のスメート・ダムロンチャイタム社長が14日、酒田市を訪れ、今年10月末に復活するバンコク―仙台間の定期便就航に向け、「タイから観光客がたくさん来るので、リピーターになるよう、親切にしてほしい」など東北に期待することを語った。
同社のバンコク―仙台定期便は2013年12月から翌14年3月まで4カ月間運航したが、その後は政情の不安定化などを理由に運休。宮城県や本県の関係者が中心になって復活を働き掛け、今年10月29日から週3便で、300人乗りの機材で復活する。
スメート社長は今回、定期便就航に向けた関係者との打ち合わせのため、13―17日の4泊5日の日程で来日。仙台での打ち合わせの後、同国メディア関係者ら13人と一緒に東北地方の観光地の視察を兼ね、本県や宮城県などを回った。
この日は酒田市でメロン狩りや山居倉庫見学の後、酒田漁港の上屋で海鮮バーベキューの昼食を楽しんだ。丸山至酒田市長が訪れ、記念品の傘福を贈り、「タイからたくさんの観光客が来てもらえるよう、酒田のまちの魅力をPRしてほしい」と要請した。
スメート社長は報道陣の質問に対し、「近年、タイと日本の観光は相互にニーズが高まっている。タイ国民は、日本の大都市の観光には飽き、東北の観光が魅力的になりつつある。これまでは羽田などから乗り継ぎ、時間も経費も掛かっていたが、仙台便就航でその問題を解決するので、たくさんの観光客が来る可能性が高い」とした。
同社が日本国内に定期便を飛ばすのは、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌に続き、6都市目。これに関しては「個人的な意見だが、6カ所目(仙台)が最も成功するという自信がある。タイからたくさんの観光客が来るので、リピーターになるよう、親切にしてほしい。また、路線の成功には一方向ではなく、双方の行き来が重要。東北の人もタイに行ってほしい」とした。
観光地としての東北の可能性については「山海のおいしい食べ物がそろっている。風景が美しく、温泉も素晴らしい」と高く評価。一方、「買い物は、地元の民芸品や食べ物もいいが、国際ブランド品を置く店がないので、東京などに行くことになる。そういうアウトレットがあれば、東北だけで完結し、東北は世界一の観光地になると思う」と改善点を指摘した。
仙台便の就航を働き掛け、今回の来日の受け入れでも中心になった一般社団法人みちのくインバウンド推進協議会の熊谷芳則理事長は「定期便復活は東北の観光にとって大きなチャンス。東北の他地域との競合が激しくなっていくので、地元では地域の魅力を捉え直し、磨き上げ、実際に来てもらうよう行動を起こさないといけない」、丸山市長は「みちのくインバウンド推進協議会などと連携し、この地域ならではの魅力を発信し、多くの人に来てもらえるようにしたい」と話した。