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2019年(令和1年) 8月10日(土)付紙面より

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「鳥海高原牧場」新たな出発

 酒田市の第3セクター「鳥海やわた観光」(和田邦雄社長)が市から無償貸与を受けて運営してきた「鳥海高原牧場」(同市草津、広さ約130ヘクタール)は、今年9月末で貸与契約を終了し、10月から北海道十勝地方を拠点に牧場を経営する「ノベルズ」(本社・北海道上士幌町、延與雄一郎社長)に経営を引き継ぐことになった。乳牛のホルスタイン900頭規模での経営を目指し、来年5月ごろから新牛舎の建設に着工、早ければ同11月ごろから生乳の全量をJAに販売していく。

 鳥海高原牧場は昭和20年代に満州開拓訓練生や樺太からの引き揚げ者が開拓したのが始まり。1960年ごろ、鳥海開拓農業協同組合が畑作による営農から牧場に転換。その後、八幡町畜産公社の運営となった。85年から旧八幡町直営となり、2005年11月の合併で新市が引き継ぎ、酪農を始めた。09―16年度は市が直営のまま、鳥海やわた観光を指定管理者として、17年度からは同社に無償貸与する形で酪農を継続。生産する生乳を使った同社の「鳥海高原ヨーグルト」は全国ブランドに育ちつつある。

 しかし一方で、夏の暑さなどもあって搾乳頭数が安定しないことや、飼料価格の高騰、機械リース代の負担など課題が多く、同社は昨年12月に牧場経営から撤退する意向を市に打診。先月8日には、9月末で貸与契約を解除して市に牧場を返還する意向を正式に伝えていた。その間、市は県やJA庄内みどりと協力し、経営を引き継ぐ会社を探していた。18年度末の飼育頭数は子牛を含め約140頭。

 経営を引き継ぐノベルズは06年の設立。乳牛に黒毛和牛の受精卵を移植し、乳牛・肉牛双方を生産する独自システムで事業拡大を図り、現在はグループ全体で北海道内で10牧場、道内最多の約2万6000頭の牛(うちホルスタインは約7000頭)を飼育。家畜排せつ物を使った有機液肥の消化液を畑作農家に販売し、飼料用のデントコーン栽培を委託。生産物を買い取って飼料とする「耕畜連携」の循環型農業を実践。家畜排せつ物を使ったバイオガス発電も行っている。グループ9社の従業員は400人を超え、昨年度の売り上げは173億円。

 鳥海高原牧場については、新会社「鳥海高原デーリィファーム」(仮称、社長・延與社長)を設立し、土地は市から有償貸与(賃貸料は市の規定に基づき、評価額の4%)を受け、牛舎など施設は全て新設する。飼料栽培や、将来はバイオガス発電も検討するという。

 経営引き継ぎについては8日、延與社長らが市役所で記者会見を開いて計画を発表。丸山至市長は「酒田の農畜産業を盛り立て、ウイン・ウインの関係になることに期待」、延與社長は「北海道で培った生産モデルを元に、本州でも地域課題の解決、地方創生に貢献したい」、鳥海やわた観光の和田社長は「ヨーグルト原料の安定供給につながるので、心強い」と抱負や期待を述べた。

 同社は昨年8月から最上町でも町の預託を受けて肉牛約300頭を飼育。今年4月には「ノベルズ最上」(社長・延與社長)を設立し、今後、牛舎などを新設し800頭規模に拡大する計画。同社が北海道以外で牧場を経営するのは、本県のこの2件が初。新規雇用は最上で6―7人、酒田で25―30人(うち5―10人は飼料栽培)を見込む。

酒田市役所で記者会見した延與社長(右から3人目)と丸山市長(同4人目)、和田社長(左端)ら
酒田市役所で記者会見した延與社長(右から3人目)と丸山市長(同4人目)、和田社長(左端)ら



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