2019年(令和1年) 11月2日(土)付紙面より
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タイ国際航空(本社・バンコク)が約5年ぶりに復活させたバンコク―仙台間定期便の第1便による乗客が30、31日の両日、庄内入りした。当面、約310人乗りの機材が週3往復するほか、来年7月ごろからは子会社が台湾・高雄経由でバンコク―仙台間で小型機(160人乗り)を週4便就航させる計画を進めており、実現すれば毎日150―300人程度が東北に訪れることになる。関係者は「東北の観光振興の起爆剤に」と期待を高めている。
同社のバンコク―仙台間の定期便は2013年12月から14年3月まで4カ月間運航したが、その後運休していた。15年9月に酒田市を拠点に発足した一般社団法人「みちのくインバウンド推進協議会」(熊谷芳則理事長)や山形、宮城両県、仙台市、仙台国際空港などが、東日本大震災で落ち込んだ東北の観光振興に向け、復活を働き掛けてきた。
復活は当面、来年3月28日までの冬季ダイヤとして実現した。バンコク発は10月29日から毎週火、木、土曜日、仙台発は同30日から毎週水、金、日曜日に運航する。みちのくインバウンド推進協事務局によると、来年3月まで全体として約8割の予約が入り、滑り出しは順調という。
一方、新たに仙台への就航を計画しているのは、同社100%出資の子会社「タイスマイル」。既に運航しているバンコク―高雄便を延伸し、親会社の直行便3便の隙間を埋める形で週4便就航することを検討中という。小型機のため、料金は比較的安くなり、利用しやすくなるメリットもあるという。
仙台への復活第1便は、特別に約390人乗りの機材を使い、約360人を乗せて30日朝、仙台空港に到着。旅行会社ごとのグループに分かれて東北各地の観光に繰り出した。このうちみちのくインバウンド推進協が受け入れを担った29人は同日、すぐに本県入りし、尾花沢市の銀山温泉経由で同日午後には鶴岡市羽黒町の庄内柿の収穫を体験、あつみ温泉に宿泊した。31日は酒田市に入り、山居倉庫を見学後、酒田漁港で海鮮バーベキューの昼食を楽しんだ。その後、秋田県や岩手県を巡り、11月3日に仙台から帰路に着く。
みちのくインバウンド推進協はこの復活を視野に9月、仙台市青葉区にタイ国際航空などと連携して東北の着地型観光の開発・販売を手掛ける旅行会社「みちのくツアーズ」を設立し、受け入れ体制を強化している。関係者は「庄内には11月1、2日も来るなど、今後コンスタントにタイのツアー客が入ってくる。子会社の就航でさらに増え、東北の観光振興の起爆剤に」と期待を高めている。
2019年(令和1年) 11月2日(土)付紙面より
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鶴岡市教育委員会は31日、地方の文化向上に尽くした人に贈る「高山樗牛賞」の本年度受賞者に、俳句の創作活動を通して地方文化の啓発向上に貢献している畠山カツ子さん(80)=鶴岡市若葉町=を決め、発表した。小中学生を対象とした同賞の奨励賞には朝暘二小6年の五十嵐大翔(ひろと)君(12)が選ばれた。授賞式は11月25日に同市のグランドエル・サンで行われる。
樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に樗牛出身地の同市教委が1958年に制定。庄内に居住し、文芸、評論、作文などで功績のあった人に贈られている。今回が62回目。
樗牛賞を受賞する畠山さんは金山町生まれ。小学生の頃から新聞や雑誌に俳句を投句した。中央では俳誌「花曜」で活躍し、鶴岡では夫の畠山弘さん主宰の俳誌「爐」を創刊から終刊まで長年にわたり俳人として、また裏方として支え続けた。
自由律系で学び、独自のリズム、個性豊かな句風は日々の生活を大切にする細やかな感性が伝わってくる。地域の俳壇選者や県現代俳句協会副会長を務めるなど、後進の育成や地域の俳句文化の資質向上にも力を注いでいる。「たまゆら」「三餘」など4つの句集を出版。
夫の弘さんも第29回(1986年度)樗牛賞を受賞しており、夫婦での受賞者となった。カツ子さんは「思いもしなかった受賞で、とてもうれしい。鶴岡でさまざまな人と人とのつながりに恵まれたことに感謝したい」と喜びを語った。
奨励賞に決まった五十嵐君は、小学2年の時に大阪から鶴岡に引っ越してきた。奈良に住む祖父母に、鶴岡でのさまざまな体験を伝えたと、小学5年の春先から文章を書き始め、驚きや喜びを生き生きと表現。日記「鶴岡体験記」の作品は未来の生活への期待感にあふれて前向きな自分史に仕上がっており、豊かな感性と創造性に富む表現力が評価された。