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荘内日報ニュース


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2019年(令和1年) 11月5日(火)付紙面より

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酒田の映画文化復活願い

 かつて「世界一の映画館」といわれた酒田市の「グリーンハウス」が発行していた小冊子「GREEN YEARS」(グリーン・イヤーズ)を編集していた元県職員、故・小松登喜雄さんの遺族が3日、1952年から約25年間にわたり発行されたほぼ全巻に相当する約1000冊を、酒田市立図書館光丘文庫に寄贈した。

 寄贈したのは、登喜雄さんの三男で建築士の小松賢三さん(66)=東京都文京区向島。今年1月に都内で、グリーンハウスを扱ったドキュメンタリー映画「世界一と言われた映画館 酒田グリーンハウス証言集」(2017年、佐藤広一監督作品)を観賞し、その中で同映画館に通った女性が、集めたグリーン・イヤーズを大切に保管している様子を見て、感激し、寄贈を思い立ったという。

 グリーンハウスは1949年5月、中町二丁目に開館。最新の洋画を中心に次々に上映したほか、小劇場として活用するなど、地方にあって先進的な文化創造・発信の拠点となり、映画評論家・淀川長治氏が「世界一の映画館」と絶賛した。しかし76年10月、酒田大火の火元となって焼失した。

 グリーン・イヤーズは上映作を紹介する小冊子で、「グリーン・ニュース」などを前身に52年5月に第1号を発刊。大火発生時に上映していた「愛のコリーダ」などを紹介した1029号まで約25年にわたり、ほぼ週刊で発行された。B5判の両面刷りを二つ折りにした4ページが基本で、晩年は三つ折りの6ページになった。地元商店などの広告も載り、時代背景を伝えている。

 賢三さんによると、登喜雄さんは、グリーンハウスの「編集者公募」に応じ、門崎志郎さん(故人)ら2人とともに編集作業に当たった。仕事が終わって帰宅後、映画配給会社から送られてきた写真や解説文を使い、編集していた。ボランティアだったが、「父親と一緒にグリーンハウスに行くと、顔パスで入れたし、父親は入場券をもらっていたようで、自分もそれをもらい、よく映画を見にいっていた」(賢三さん)という。

 この日は賢三さんが市中町庁舎内の光丘文庫を訪れ、市立図書館の岩浪勝彦館長と岩堀慎司文庫長に、登喜雄さんが遺したグリーン・イヤーズの第1―1029号のうち、欠番14冊を除く1015冊を、目録など自作の資料とともに寄贈した。

 賢三さんは「5、6歳の頃からグリーンハウスで映画を見て、映画ファンになった。『東京と同時上映』など最新の映画を酒田でいち早く見られるのは誇りだった。しかし今、酒田に常設の映画館がないのは寂しい。酒田の映画文化復活のきっかけになれば」と、寄贈への思いを語った。

 岩浪館長と岩堀文庫長は「さまざまな広告も載っており、郷土の文化に関する貴重な資料として有効活用させてもらう」と感謝。今後、公開していくという。市立資料館(一番町)には、門崎さんが寄贈したほぼ同様のコレクションがあり、お互いが欠番を補う形でほぼ全巻がそろうという。

寄贈したグリーン・イヤーズを披露した賢三さん=3日、光丘文庫
寄贈したグリーン・イヤーズを披露した賢三さん=3日、光丘文庫



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