2019年(令和1年) 11月28日(木)付紙面より
ツイート
緩和ケア市民公開講座が23日、三川町のいろり火の里なの花ホールで開かれ、石川県金沢市でがん患者の集いの場「元ちゃんハウス」を運営しているNPO法人がんとむきあう会理事長の西村詠子さんの講演を聞き、緩和ケアについて考えた。
西村さんは「元ちゃんハウスでの出会い?この地でがんとむきあう」と題して講演。医師で、がんを患い亡くなった夫の西村元一さんが英国のマギーズキャンサーケアリングセンターを目指し立ち上げた「金沢版マギー」の元ちゃんハウスへの思いや、看護師でピアサポーターでもある自身が夫の遺志を引き継いだ現在の活動を紹介した。
2013年に「がんとむきあう会」を立ち上げ、地域で活動の輪を広げていた中、元一さんに進行胃がんが見つかった。執筆活動や全国への講演・募金活動を続け、16年に元ちゃんハウスをオープン。「院外の街中にがん患者が医療者と交流できる場所を」という人生の目標を実現したが、翌年に58歳で他界した。
詠子さんは、「患者は見掛け以上に強がっている。医療者も実は知っているふり、分かっているふりをしている」「がんになってつらいからこそ、人が人と支え合う場所が必要」など、医師と患者の両方の立場から元一さんが残したさまざまなメッセージを紹介。がん患者とその家族、遺族や医療者など、がんに関わる人たちが「つながる」大切さを訴えた。
治療や家族のこと、副作用に伴う食欲不振やウイッグについてなど悩みや不安を抱えた人たちが集い、思いを共有することで支え合い、医療をはじめ他分野のプロ集団が支援している元ちゃんハウスの現在を伝え、「がんになって生き直そうとしている新たな人生に寄り添わせてもらい、ここでの出会いに力をもらっている。主人の思いと共に金沢の地で生きていく」と語った。
公開講座には約200人が参加。鶴岡東高吹奏楽部による演奏披露や、南庄内緩和ケア推進協議会が中心となり普及活動を行っている緩和ケア「庄内プロジェクト」についての解説なども行われた。