2020年(令和2年) 1月25日(土)付紙面より
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国土交通省の「羽田空港発着枠政策コンテスト」で、庄内空港・羽田線の5便化実現へ向けた提案応募への機運が庄内地域で高まる中、庄内―羽田線をコンテストの「土俵」に上げるかどうか、同空港を管理する県の判断が注目される。3枠設定でコンテストが導入された2014年は4空港が手を挙げ、山形―羽田線など3路線が選ばれ増便が実現している。今回は5枠に拡大されたものの、3路線の継続を含め10路線程度がコンテストに名乗りを上げるものとみられ、競争激化は必至な状況だ。
運航する航空会社と自治体による共同提案方式の政策コンテストで、14年以降に羽田線の増便が実施されているのは山形空港、鳥取空港、石見空港(島根県)の3つ。2月14日に応募締め切りとなる今回のコンテストについて、22日の県議会総務常任委員会で県の酒井達朗総合交通政策課長は「(山形空港の)応募に向けて日本航空、関係市町村などと協議している」と述べ、引き続き山形―羽田線の応募を日本航空などと共同提案に向け既に関係者間で協議に入っている状況を答弁した。
一方、コンテストへの新規応募として浮上した庄内―羽田線に関し、県の担当者は今月初め、庄内5市町の関係者らと会合を持った。この中で県側は▽昨年8月のジェットスター・ジャパンによる庄内―成田線の新規就航▽政策コンテスト5枠の中での1県2空港の選定の困難さ―など庄内空港と政策コンテストをめぐる環境を説明した。
22日に開かれた庄内県議団全11人と県との意見交換でも、この2点が話題となった。県議側からは「全日空が運航する庄内―羽田線はビジネス利用が中心で、格安航空のジェットスターの庄内―成田線は若者の旅行など利用者層が違う」、「山形―羽田、庄内―羽田の両方を政策コンテストに応募すればいい」などの意見が出されたという。
政策コンテストへの庄内―羽田線の応募を働き掛ける庄内の自治体や経済界の関係者らは「今回のコンテストには庄内空港の羽田線を運航する全日空も前向きと聞く。まずはコンテストの土俵にも上がらなければ。この機会を逃さず、5便化実現のためにも応募への手を挙げるべきだ」と強調する。
航空会社と自治体の共同提案による政策コンテストでは、増便に向けた波及効果などの目標設定、観光やビジネス、訪日外国人旅行者など需要開拓に向けた施策、空港施設使用料削減など航空会社の運航コスト削減のための施策といった提案内容が評価され、導入路線が決定される。県は「政策コンテストについては、2月14日の応募締め切りまでに総合的に判断する」との立場を示す。残された時間は少なく、県の判断が注目される。