2020年(令和2年) 1月28日(火)付紙面より
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本県初の地域通訳案内士となる「北庄内地域通訳案内士」の養成講座が25日、酒田市総合文化センターで始まった。当初の定員20人に対し、庄内一円から27人が参加し、関心の高さをうかがわせた。3月下旬まで地域の歴史や文化、旅程管理などを学び、認定・登録後は地元で外国人向けに観光案内してもらう。
この制度は2018年1月、通訳案内士法の改正で創設された。国を挙げてインバウンド(訪日外国人旅行)を推進し、全国で通訳ガイドが不足する中、難関とされてきた国家資格「通訳案内士」を「全国通訳案内士」に名称変更するとともに、地域限定で活動する「地域通訳案内士」を新設した。希望する自治体が育成計画を作り、観光庁長官の同意を得ることで育成・認定・登録できる。
北庄内では、酒田港への外国クルーズ船の寄港が増えていることなどを背景に、酒田市が主体となって育成計画を提出した。クルーズ船のオプショナルツアーでは、他県の全国通訳案内士が同行して不慣れな案内をしていることが多いため、地元に精通した地元のガイドを養成する狙い。昨年12月11日付で、名称「北庄内地域通訳案内士」、活動地域「北庄内」(酒田市、遊佐町、庄内町)、対応言語「英語」で育成計画の同意を得た。全国で37地域目、東北で4地域目、本県では初。
第1弾となる養成講座は3月20日まで計9日間、地元の全国通訳案内士や東北公益文科大講師、酒田地区広域行政組合消防本部職員などが講師となり、ガイドの基本や救急救命、旅程管理、地域の歴史や文化、語学、実地のガイド研修などを行う。最終回の口述試験に合格すると、市から認定証が交付され、登録することで地域通訳案内士として活動できる。
講座の受講資格として「TOEIC730点以上、または英語検定準1級以上相当」などを設定。酒田地区を中心に鶴岡市など庄内一円から当初の定員を上回る27人が参加した。
初講のこの日は冒頭、市交流観光課の阿部利香国際交流主幹がオリエンテーションで、クルーズ船乗客への調査で酒田の地域を挙げたもてなしが好評なことなどを紹介。「外国人観光客の満足度を高めリピーターを増やすには、地元の暮らしや歴史、文化、自然に精通し、その魅力を詳しく英語で語れるガイドが必要。ガイドブックに載っていない地域の魅力を皆さんの言葉で伝えて」と激励した。
米国への留学経験があり、羽黒高教諭として工業系科目を教えている村岡正明さん(52)=庄内町余目=は「英語のスキルがあっても、普段は使う機会はあまりない。地元の観光にも興味があったので、自分のスキルを生かせればと思った」と受講の動機を語った。
阿部主幹は「受講資格のハードルは結構高く、当初は10人も来れば御の字と思っていたが、うれしい悲鳴状態。地元にも語学が堪能な人が多いことや、インバウンドへの関心の高さを再認識した」とする。
市ではこの講座とは別に、一般向けに来月9日から3回、「おもてなし英会話研修会」を開く。これも定員40人に対し、既に60人以上の応募があり、関心の高さをうかがわせている。