2020年(令和2年) 3月17日(火)付紙面より
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鶴岡市に残る郷土史料や食を通して学ぶ講座「庄内藩の歴史と食文化を学ぶ会」が15日、同市本町一丁目の和食「庄内ざっこ」を会場に開かれた。有識者によるトークセッションにはいずれも同市の阿部久書店の阿部等さん、トキワ屋の松田博美さん、鶴岡市郷土資料館の今野章さんが登壇。庄内藩の面影が色濃く残る城下町鶴岡を振り返り、今後の鶴岡の展望を語り合った。
荘内銀行ふるさと創造基金補助事業として庄内藩の歴史と食文化を学ぶ会(遠藤初子代表)が主催し、昨年に続いて2回目の開催。今回はコロナウイルス感染拡大予防のため一般参加を募らず無観客で行われ、当日の様子は後日、動画投稿サイト「YouTube」で公開される予定。
トークセッションでは同資料館に残る資料を基に、現代でも親しまれているみそベースの芋煮や12月9日に食す大黒様のお歳(とし)夜などの郷土料理が昔からどのように市民に食され、現代に受け継がれているのかをひもといた。今野さんは「江戸時代の料理本には料理名のほかに、使用する皿や器も記載されていた。当時の人は目でも楽しんでいたのではないか」と話した。
セッション後は、江戸時代に現在の同市睦町に当たる町役人が会合の際に食べていたという献立を基に再現された膳を食した。旬のサクラマスの吸い物や小ダイの浜焼き、赤カレイの煮物、刺し身といった魚料理を中心に砂糖としょうゆで煮込んだ小串焼き(焼き鳥)、当時は高級食材とされたかまふく(かまぼこ)などが並んだ。食後は甘味まで付き、当時としては質の高い料理をたしなんでいたことがうかがえる献立に、登壇者などは舌鼓を打っていた。膳を再現し調理した庄内ざっこの齋藤亮一さんは「資料には調理方法の記載がなく今野さんに相談し、調べたりしながら再現。資料が旧暦のため旬のものが今と若干ずれがあり、方言で記載されたものもあったがいろいろと試行錯誤した」と話した。
2020年(令和2年) 3月17日(火)付紙面より
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新型コロナウイルスによる臨時休校措置に伴う給食休止のために「行き場」を失った野菜を広く一般に提供する「お野菜レスキューマーケット」が15日、酒田市東大町二丁目の「マンマカフェ ブレーメン」(堀直子さん経営)で開かれた。同店駐車場にはジャガイモやニンジン、大根といった「救助」を待っていた野菜が格安で並び、長蛇の列ができる盛況ぶり。生産者と消費者をつないだ堀さんは「これを機に地元野菜のおいしさに気付いてもらえたら」と話した。
給食休止に伴って行き場をなくし、廃棄されるのを待っている野菜があるという現状を知った堀さんと市内在住のデザイナー、久松理子さんが、野菜農場・叶野(鶴岡市東堀越)の叶野幸喜さん(40)と共に企画したマーケット。叶野さんによると、同農場ではジャガイモ、ニンジンなど計約6トンの野菜が今回の給食休止で納入がキャンセルになったという。
会員制交流サイト(SNS)を通し今月上旬、これらの野菜を個別に販売しようとしたところ、予想を上回る注文が舞い込んだことから急きょ、堀さんが店舗と駐車場を提供しマーケットを実施することに。開催の周知はSNSを使って久松さんと共に行った。
この日は、叶野さん、地場産野菜の販売を手掛ける「やさいろ」(鶴岡市、秋山和宏代表)のメンバーが野菜を持ち寄って午前9時にオープン。間もなく会計を待つ長い行列ができ始め、1時間後には品薄になり、午前中のうちにほぼ完売。野菜同様に需要が減退している花卉(かき)、キッシュやポテトブレッドといった加工品の販売もあり、大勢でにぎわった。
叶野さんは「堀さんと久松さんに声を掛けてもらい今回、新しい出会いが生まれた。大勢の人に助けられ、励まされた」と。堀さんは「コロナウイルスで疲弊する中、笑顔が見たいという思いで企画した。困っている人の力になりたいと思っている人がこんなにいるということに、庄内愛の強さを感じた」と話した。