2020年(令和2年) 5月23日(土)付紙面より
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酒田市の南平田小学校(加賀谷成秀校長)の5年生52人が22日、学校近くにある実習田で苗の手植え作業を体験した。女子児童は例年、ハンコタンナにかすりの着物、モンペという伝統的な「庄内おばこ」姿になり実施していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため今年は見送り。児童たちは額に汗しながら丁寧に作業に当たった。
1993年から毎シーズン、同市飛鳥の農業、土田治夫さん(59)の水田10アールを借り、5年生が社会科と総合学習の一環で実施している。地域のおばあちゃんたちから着付けを手伝ってもらい、女子児童はこれまで「庄内おばこ」姿になっていたが、「密接」を避けるため体操着での体験となった。
児童たちはこの日、土田さんから苗の植え方を教えてもらった後、素足になって田んぼに。怖々とした表情で一歩ずつ泥の中を進みながら、「つや姫」の苗を5、6本ずつ丁寧に植えていった。泥の中から足を上げるたびによろめく児童が多く、「きゃー」という歓声が周囲に響き渡った。
参加児童の一人、後藤颯心君(10)は「田んぼの中は少し冷たかった。腰を曲げているのでかなり疲れた。おいしく育ってほしい」と。土田さんは「苗の生育は良い。感染症の影響で体験を中止する学校が多くある中、実施することができてまずは良かった」と語り、「若い世代から食に関心を持ってもらうことはとても大切なこと。このような機会を通して呼び掛けたい」と話した。
児童たちは今季、田んぼの他、バケツの中で稲を育てる「バケツ稲」にも挑戦する。観察などの学習を進め、10月には手刈りによる稲刈りとくい掛け、足踏み式脱穀、11月には土田さんら協力者を招き、恒例の収穫感謝祭を行う予定。