2020年(令和2年) 9月17日(木)付紙面より
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庄内浜ブランド創出会議が15日、鶴岡市のマリカ市民ホールで行われた。魚介類の地元ブランドをどう発展させていくかを話し合うもので県庄内総合支庁が主催、県内の漁業・水産関係者ら25人が出席した。今回のメーンの話題は昨年度県初のブランドガニとして導入された「庄内北前ガニ」の基準緩和。ただ漁獲高が少ないこともあって、確たる基準変更を示すことができずに話し合いは終了した。来月2日に県内レストラン・料理店が参加するキャンペーン(来年1月15日まで)が始まるが「準備不足ではないか」と不安視する声も上がった。
昨年度は基準が厳し過ぎてわずか39匹(杯)にとどまった「庄内北前ガニ」。同基準のまま「トップブランド」=極上ブランドとして残すことは決まった。しかし肝心の範囲拡大しての通常品の尺度をどこに置くかは不透明なまま話し合いは終わった。最前線で漁を行っている県機船底曳網漁業協議会の飛塚裕実会長は「どれだけ(ズワイガニが)捕れるか分からない。安定供給が難しいかもしれない」と首をひねった。最盛期は年90トンだったズワイガニが昨年度は13トン余り。今季も昨年同様かさらに不漁の場合が想定されるという。
どうやら「通常品」はトップブランド(1キロ以上)に300グラム足りない「700グラム以上」になりそうだが、食べたいときに食べられない供給不安の危険性がはらんでいる。庄内浜で捕れるズワイガニの大方を「庄内北前ガニ」と名付けたらいいという意見もあったほどで、そうなると“ブランド品”の意味がなくなる。
キャンペーンは庄内浜のズワイガニ漁解禁(10月1日)を機に始めるもので、すでに半月を切った。今後同協議会は分科会を開催し、細部を煮詰めていくというが、キャンペーン開始まで残された日にちは少ない。また昨年度、同じくキャンペーンを展開した天然トラフグではアンケートに206人の回答があったが、北前ガニは回答者21人と10分の1にとどまった。北前ガニの消費者ターゲットを地元に置くか観光客に置くかもはっきりしない部分が残り、吉村美栄子知事自らが名付けた新ブランドガニは早急に戦略見直しが迫られることになった。
◆庄内北前ガニ基準(トップブランド)1出荷時に活ガニ2重さが1キロ以上3甲羅幅13センチ以上4キズ、足キレがない5身が詰まっている610?1月に底引きで漁獲