2020年(令和2年) 9月22日(火)付紙面より
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新型コロナウイルス感染症の影響で、東京などへ予定していた修学旅行を地方へ変更する動きが出ている。鶴岡市へも県内の内陸地方や東北各県から初めて修学旅行に訪れるケースが多く見られ、関係者は「多様な観光資源と学びの題材を生かし、こうした機会をきっかけに今後も庄内・鶴岡が修学旅行の訪問・宿泊地として選ばれるよう情報発信や働き掛けを強めたい」と話している。
同市の観光振興を担うDEGAM(デガム)鶴岡ツーリズムビューローは9月初め、収容人数がおおむね100人以上の市内の12宿泊施設を対象に、聞き取り調査を実施した。9月から11月にかけて小中高校・特別支援学校の修学旅行受け入れ予定を聞いたところ、県内外から計73校の宿泊予定があることが分かった。
学校種別では小学校42、中学校22、高校4、特別支援5校で、県別では県内52、宮城10、岩手6、新潟2、青森、秋田、福島各1校。聞き取り調査は初めて行ったため、前年までとの比較はできないが、デガムの担当者は「宮城県からは以前から体験型修学旅行で訪れる学校はあったが、その他の県からの修学旅行での訪問・宿泊受け入れは初めてと聞いている。加茂水族館の見学を組み込んだ日程が多いようで、クラゲの展示で全国的に知られる同水族館が一つのきっかけになっているようだ」と分析する。
鶴岡公園に大型バスを駐車し、班別やグループごとに自由行動で近隣にある藩校致道館や致道博物館などを巡り、城下町の歴史と文化を学ぶといった形態も見られるという。デガムは「戊辰戦争と明治期から現代までの歴史を含め、酒井家の城下町の歴史と文化、3つの日本遺産、ユネスコ食文化創造都市など学びの題材がそろっていることも行き先として選ばれていることにつながっているのではないか」と話している。宿泊を伴わない訪問を加えると、さらに多くの学校が県内外から訪れているという。
学校向けに半日程度の映画づくり体験をプログラム化している、鶴岡市羽黒町川代のスタジオセディック庄内オープンセットにも今秋、岩手県内からは初の中学校の修学旅行が決まっている。同オープンセットは「コロナ禍に伴う受け入れ増ではあるが、数ある旅行先の中から選んでもらえるのは、庄内・鶴岡でしかできない体験や学習があるということが評価されてのこと。今後に向け、こうしたことをもっとアピールしていきたい」と話している。