2020年(令和2年) 9月23日(水)付紙面より
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音楽や美術、伝統芸能などさまざまなジャンルの芸術文化に触れ合う「サカタアートマルシェ2020祈りと希望」の一環で21、22の両日、会場となっている酒田市飯森山三丁目の市美術館、出羽遊心館で多くの芸術文化イベントが行われ、秋晴れの下、市民らが「芸術の秋」を堪能した。
アートマルシェは、文化芸術の振興をまちづくりの柱の一つに据えようと市が2018年、「市文化芸術基本条例」を制定したことを受け、市文化芸術推進プロジェクト会議(工藤幸治会長)と市が、子どもからお年寄りまでがさまざまなアートに気軽に触れる場を設け、五感を使って楽しんでもらおうと昨冬、今冬に引き続き企画した。
コロナ禍の中、今回はテーマとして命の大切さ、共生社会を掲げた。メーンは企画展「いいいろ、いろいろ」。疫病退散の妖怪「アマビエ」を描いた市民による作品、福祉事業所通所者らから募集した絵画、酒田市出身の芸術家・佐藤真生さんの作品群を市美術館市民ギャラリーと出羽遊心館に展示している。
21、22日は、ワークショップ「おそとでアート」、山形交響楽団による「風と光のコンサート」。酒田舞(まい)娘(こ)による演舞、紙芝居師・米田佐之助さん(よねさん)の公演、フラワーアーティスト・畠山秀樹さんと筝曲・高瀬雅楽秋さんのコラボ企画など多くのイベントが行われた。このうちよねさんの公演では、集まった市民ら30人を前に、戦争の悲惨さ、日常の尊さを訴える紙芝居「我慢の心」とともに、クイズ、庄内弁講座を上演。屋外の上、少人数での開催となったことで演者と観客の一体感が生まれ、独特の世界観を醸し出していた。よねさんは「屋外開催となったが、好天に恵まれた。開放感が気持ちよかった」と話した。
企画展「いいいろ、いろいろ」は27日(日)まで。入場無料。問い合わせなどは市社会教育文化課=電0234(24)2982=へ。
2020年(令和2年) 9月23日(水)付紙面より
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鶴岡信用金庫(佐藤祐司理事長)の第5期若手経営者塾の9月講義が19日、鶴岡市羽黒町の松ケ岡開墾場で行われた。鶴岡シルクの大和匡輔社長の案内で松ケ岡開墾記念館などを巡り、開墾の歴史とともに、これからの時代に重要となるキーワードなどを学んだ。
庄内地方の起業を目指す人や若手経営者らを対象に2016年度から毎年、平尾清鶴岡工業高等専門学校客員教授を塾長に、地元の第一線で活躍する企業人らを講師に迎えている。本年度は塾生25人が4月から12月まで9回の受講を予定しているが、新型コロナの影響で5、8月は延期され、今回は本年度4回目。塾生約20人が参加した。
大和さんは「地域資源を生かしたブランディング」と題して講義。戊辰戦争で敗れ「賊軍」の汚名を着せられた旧庄内藩士たちが、報国によって汚名を返上しようと東京ドーム約67個分の311ヘクタールを開墾して絹産業を興した歴史や、その後、化学繊維の隆盛で風前のともしびとなった鶴岡の絹産業を、捨てられていたキビソ(蚕が最初に吐く糸)にスポットを当てたブランディングで再興しつつある大和さんらの最近の取り組みなどを、松ケ岡本陣での座学や、開墾記念館で資料を示しながら解説した。
大和さんは「ブランディングは、歴史を学ばないとできない。何が大事で、何を残すべきかを、歴史から考えて」とした。アフターコロナ社会に対応するためのキーワードとして▽消費主導経済の終焉(しゅうえん)とサーキュラーエコノミー(循環型経済)の台頭▽SDGs(国連の持続可能な開発目標)▽サステナブル(持続可能であること)、エシカル(倫理的であること)―などを挙げた。
最後に旧藩士たちが開墾時、西郷隆盛からもらったという言葉「気節凌霜天地知」を示し、「一生懸命にやれば、亡き先人たちも必ず見ていてくれるという意味」と解説、奮起を促した。