2020年(令和2年) 12月4日(金)付紙面より
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酒田市は1日、アマチュア写真家を対象に市が制定する本年度の土門拳文化賞の選考結果を発表した。最高賞の文化賞に仙台市太白区、元高校教諭、海老名和雄さん(77)のカラー30枚組み「恵みと試練―丸森2019」が選ばれた。授賞式は来年3月7日(日)、酒田市飯森山二丁目の土門拳記念館(市写真展示館)で行われる予定。
酒田市名誉市民第1号で世界的な写真家・土門拳さん(1909―90年)の功績をたたえ、写真文化と写真芸術の振興などを狙いに、市が、土門さんの作品を収蔵する同記念館の開館10周年記念事業として1994年度に創設した賞。国内のアマチュア写真家を対象に自由なテーマで写真作品を公募、優秀作を表彰しており、プロ写真家への登竜門として定着している。
26回目の今年は、全国37都道府県の138人から145点が寄せられ、10月16日にいずれも写真家の江成常夫さん、大西みつぐさん、藤森武さんの3人が市内で選考委員会を開き、文化賞1点、奨励賞3点を選んだ。
文化賞に選ばれた海老名さんの作品は、宮城県丸森町の養蚕農家2軒をモチーフに、昨年4月からまゆ作りの模様を詳細に記録し続けたもの。最中の同年10月、台風19号が同町にも大きな被害をもたらし、その現実をも撮影。取材していたうちの1軒は壊滅的な打撃を受けたため、後に廃業に追い込まれたという。藤森さんは「中山間地域の生活と限界集落に近い地域の問題点が浮き彫りになった。組み写真の難しさを克服した見事な写真群」と評した。
奨励賞は、藤吉修忠さん(81)=和歌山県=のカラー30枚組み「沈黙の声」、和田喜博さん(73)=岐阜県=の同「連綿の片」、新井俊明さん(68)=京都府=のモノクロ30枚組み「寄り添って」の3点。
受賞作品は、授賞式に先立ち来年3月6日(土)から同記念館に展示される。