2020年(令和2年) 12月26日(土)付紙面より
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脊髄損傷を負い、下半身まひとなった車いす生活を動画投稿サイトやSNSで発信している鶴岡市在住の渋谷真子さん(29)が自身の半生をつづった書籍「普通で最高でハッピーなわたし 特別でもなんでもない二度目の人生」(扶桑社)を出版した。「障害の有無に関係なく、壁や恐怖を乗り越えた先に広い世界があること、チャレンジし続けることの大切さをいろんな人に知ってほしい」と投げ掛ける。
2018年7月、同市田麦俣にある実家の家業である茅葺き屋根の修繕作業中、誤って転落し、車いす生活が始まった。自身が持つユーチューブチャンネル「現代のもののけ姫Maco」ではリハビリやトレーニングのほかに当事者ならではの悩み、一人旅、クレー射撃、チェアスキーなど車いすの枠を超えた活動を動画で投稿。歯に衣着せぬ言動と底抜けに明るい性格で全国的にも話題を集め、テレビや雑誌など各メディアに出演している。
「実はあまり本を読まない」という渋谷さんだったが、本にすることで人に勧めやすく、SNSになじみの少ない高齢者など幅広い世代に自身のメッセージを伝えられると考えたという。
文中では障害者の性事情、恋愛、排泄障害など世間が“タブー視”していた部分にも堂々と触れている。「クスクスしながら読める本」を意識したといい、事故直後に搬送された手術室で実際に繰り広げられた“コント”のような一部始終もあり、自分を好きになるためのコツやコンプレックスの解消法、嫉妬や憧れとの付き合い方など渋谷さんの経験から生まれた打開策やヒントが至る所に散りばめられている。
本はすでに発売されており、鶴岡市内の各書店ほか、インターネットでも購入できる。1冊1200円(税別)。