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2020年(令和2年) 12月27日(日)付紙面より

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鶴岡の養豚場で「豚熱」確認 東北で初 1327頭の殺処分開始

 農林水産省は25日、鶴岡市の養豚場で家畜伝染病「豚熱(ぶたねつ)(CSF)」の感染を確認したと発表した。東北地方では福島県で野生のイノシシの感染が確認されていたが、養豚場での感染は東北で初めて。国内の養豚場での感染は今年9月26日に群馬県で発生して以来3カ月ぶり。県は25日夜に豚熱対策本部を設置し、この養豚場で飼育している1327頭の殺処分を開始した。26日夜までの24時間以内に終え、敷地内での埋却処分を72時間以内に行う。感染経路は分かっていない。

 県によると、23日夕にこの養豚場から「豚の死亡頭数が増加している」と連絡があり、翌24日朝には5頭が死亡したことから現地調査の要請を受けた。県庄内総合支庁家畜保健衛生課が死亡豚2頭の病理解剖と同居豚10頭の血液検査を行ったところ、うち3頭で豚熱の疑いが強まり、25日に国の検査機関が検体を調べて感染が確定した。

 福島県での野生イノシシの豚熱感染を受け県は9月以降、県内の全ての養豚場など計約16万頭を対象にワクチン接種を進め、今月23日に終了。感染が確認された養豚場では今月3日に接種を終えていたが、出荷直前の豚については法律に従い接種しておらず、こうした豚が感染した可能性があるという。

 県は25日夜、豚熱対策本部会議を開き、殺処分、埋却処分の対応を確認するとともに、養豚場を中心に半径3キロ圏内を豚などの移動制限区域に、3―10キロ圏内を搬出制限区域に指定。3キロ圏内では1施設約200頭、3―10キロ圏内では15施設計約9000頭の豚が飼育されているという。発生地周辺に消毒ポイントを6カ所設置(1月中―下旬ごろまで)し、畜産関係車両を中心に消毒する。現地対策本部を県庄内総合支庁、現場事務所を鶴岡市藤島体育館に設置した。農水省は感染経路を調べるため、疫学調査チームを鶴岡市に派遣する。鶴岡市も県の本部設置を受け、豚熱対策本部を設置した。市によると、市内の豚の飼養頭数は約2万3000頭、養豚場経営体は24あり、1経営体当たりの最大飼養頭数は約8000頭。

 県の高橋雅史農林水産部長は「関係機関と連携し速やかな防疫措置の徹底などを進めていく。豚熱は人に感染しないし、豚熱にかかった豚の肉が市場に出回ることはない。これをしっかり周知して風評被害の防止に取り組みたい」と話した。

 CSFはウイルスによる豚、イノシシの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴。人への感染はない。国内では2018年9月に26年ぶりに岐阜県で感染が確認されて以降、9県の養豚場で発生しており、本県が10県目。野生イノシシの感染確認は全国で相次ぎ、農水省によると、11月25日現在、福島県や新潟県など22都府県で報告されている。

 豚熱(CSF)に関して鶴岡市在住の獣医師は「もし感染した豚肉を人間が食べたとしても、それは全く大丈夫。人間には感染しない」と説明した。

 一方で豚熱の感染力の高さは相当のものという。「発病した豚の唾液、尿、涙、ふんに加え、呼気にさえ多量のウイルスが含まれている」とし、今回の豚舎の1327頭全ての殺処分は仕方ないものという。

 今回の感染源は特定されていないが野生のイノシシである可能性は高いという。養豚場周辺の動物(イヌ、ネコ、ネズミ、野鳥)を通じて広がる危険性が高く、養豚場の近くに立ち入った人や車両にウイルスが付着して、他の飼育場に広まるケースもある。新たな豚熱を引き起こさないためにも養豚場付近に一般の人間が近づくことは努めて避けるべきと説明した。川の上流で発生があった後、川下に順次広がった事例もある。

 ただ食肉加工業などの現在の消毒体制はしっかりしており、「“豚肉は危険”という風評被害が広がってはならない」とも話していた。

豚熱発生が確認された養豚場敷地内に入る重機=25日午後6時ごろ
豚熱発生が確認された養豚場敷地内に入る重機=25日午後6時ごろ

養豚場周辺では防護服の関係者が対応に追われた=26日午前9時半ごろ
養豚場周辺では防護服の関係者が対応に追われた=26日午前9時半ごろ



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