2020年(令和2年) 12月30日(水)付紙面より
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耐震補強と併せて大規模な修復工事のため今年10月から休館している酒田市中町一丁目の国指定史跡「旧鐙屋(あぶみや)」。市は現在、屋根の修繕など事業費に充当しようと、ふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディング(GCF)を展開している。目標金額は100万円。
鐙屋は江戸初期の1608年、山形藩主・最上義光から屋号を与えられ、寛永年間(1624―44年)には酒田町年寄役となり、酒田三十六人衆の筆頭にも数えられた。その繁栄ぶりは、井原西鶴「日本永代蔵」に「北の国一番の米の買入れ、惣左衛門といふ名をしらざるはなし」などと紹介された。
現在の建物は、1845年4月の「甘鯛火事」で被災後に再建されたもの。野地板の上に杉皮を敷き、それを石で押さえた「石置杉皮杉葺屋根」は風が強い風土に根差した、酒田の典型的な町屋造りとされる。1984年5月に国史跡に指定された。86年には所有者の鐙谷家から市が土地・建物を取得し、翌年から一般公開。90年度から8カ年かけて建物全体の大規模改修を行った。
前回の改修から20年余が経過し、専門家から震度5以上の地震で倒壊する可能性が指摘されている上、昨年6月の本県沖地震の際は柱や梁(はり)に亀裂が入った。今回の大規模改修では、傷みが激しい屋根全面(約700平方メートル)を葺き替え。さらに壁の一部について、細い竹などを組んだ木舞(こまい)に土を塗った土壁から、新たに耐力壁にして補強する。完了は2024年度末の予定。
「酒田に唯一残る江戸時代の町屋造りを地震倒壊の危機から救いたい!」と銘打った今回のGCFは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で来月30日(土)まで募集している。今月27日現在の寄付金額は30万5000円。
今回のGCFにあたり丸山至市長は「酒田のシンボルの一つである『旧鐙屋』を再生し、新たな出会いの場として地域の発展を図り、この素晴らしい建物を全国に発信していきたい」とコメントしている。
2020年(令和2年) 12月30日(水)付紙面より
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鶴岡南高野球部OB会(阿部信矢会長)が同部にピッチングマシン(120万円相当)など野球器具を贈ることになり28日、同校で贈呈式が行われた。
贈られたのは他にスピードガン(5万円)と防球ネット2組(10万円)の“3点セット”。ブルーシートに覆われたマシンが姿を現すと部員たちからは「オーッ」と歓声が上がり、笑顔が広がった。県4強入りを現実的な目標に25人の部員を率いる橋本大輝主将(2年)は「先輩ら多くの方々に応援されていることを実感した。野球の勝利で応えたい。有効に活用したい」と意気軒高に語っていた。
同部は1901(明治34)年創設で来年創部120周年を迎える。春夏とも甲子園出場はないが、長い歴史を刻んできた。中高一貫校の新設で校名が変わることが決まっており、来春入学の生徒が卒業時、最後の「鶴南球児」となる。OB会員は約470人。節目の年を前に、現役部員の希望を聞き、今のものが古くなっていたこともあってピッチングマシンの贈呈を決めた。阿部会長は「寄付が目標額に達することができて良かった。技術の向上に役立ててほしい」と話していた。来年6月には記念式典を開きたい意向だ。