2021年(令和3年) 1月26日(火)付紙面より
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任期満了に伴う知事選は24日に投開票され、無所属現職の吉村美栄子氏(69)が元県議で無所属新人の大内理加氏(57)=自民・公明推薦=を破り4選を果たした。過去2回は吉村氏が無投票当選しており、12年ぶりの知事選で女性同士の一騎打ちは全国初。コロナ禍の中、吉村県政の「継続」か「転換」かが最大の争点となった。立憲民主や共産、国民民主の各党、連合山形などの支援を受け「県民党」を掲げた吉村氏が、県選出の衆院議員や自民の県議、県市長会の有志、保守系の市町村議など分厚い支援を受けた大内氏に23万1293票の大差を付けた。投票率は前回(2009年)の65・51%を2・57ポイント下回る62・94%。当日有権者数は90万8430人(男43万5531人、女47万2899人)だった。
今回の知事選は、吉村県政3期12年の評価を巡り、圧倒的に高い知名度で「コロナ克服・やまがた経済再生」を訴える現職と、「国との連携を強化し選ばれる山形へ」と強調する新人が、7日の告示以降激しい舌戦を繰り広げた。吉村氏は国民の舟山康江、国民系無所属の芳賀道也両参院議員や非自民系県議などの支援を受け、大内氏は自民県連会長の加藤鮎子氏をはじめ自民の衆院議員3人や自民県議全26人の支援、公明党県本部の推薦を受けるなど、「非自民」対「自民・公明」が争う一昨年の参院選と同じ構図となった。
吉村氏は投票日3カ月前の昨年10月25日に出馬を表明。告示後もコロナ対策など公務を続ける一方、県内全域で街頭演説を中心に活動し、「子育て支援や製造業におけるものづくりの付加価値を高めること、農林水産業など、どれもまだ道半ば。今後はコロナの予防対策と経済回復を両立しながら、この難局を県民の皆さんと一緒に乗り越えたい」と現県政の継続を訴えた。
35市町村全ての得票が大内氏を上回り、庄内地域でも鶴岡市が2万4000票余り、酒田市が2万票余りの差がつき、三川町では約2100票、庄内町約5600票、遊佐町約4300票とそれぞれ差が開いた。
大内氏は自民県連の知事選候補者公募に応じる形で昨年3月に県議を辞職。5月に自民県連が擁立を決定し、正式に出馬を表明した。県内各地域を巡って1500カ所超でミニ集会を開き、「国とのパイプ役となって財源を確保し、停滞した県政を前に進める」と訴えるとともに延べ4万人の県民の声に耳を傾け、地域課題を抽出。9月に山形市で事務所開き、10月に政策を発表するなど常に先手を取って積極的な選挙活動を繰り広げてきた。
しかし、コロナ禍で大規模集会が思うように開けないなど苦戦が続き、知名度不足の解消に至らなかった。選挙期間中、県内各地の個人演説会や街頭演説で応援弁士が現県政の批判を繰り返し、大内氏の政策や人柄を有権者に伝えきれなかったこともマイナスに働いた。
4選を果たした吉村氏は25日午後に初登庁し、27日の記者会見後に県選挙管理委員長から当選証書が交付される。