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2021年(令和3年) 2月11日(木)付紙面より

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飲み込む力の弱い人にも地元食材でおいしいものを  試作重ねた「嚥下食」提供

 地元食材を使った嚥下(えんげ)食の開発・研究を行っている「鶴岡料理人発 幸せを呼ぶSF研究会」は9日、鶴岡市藤沢の高齢者施設「オープンハウス奏(かなで)」で初の実食会を開き、デイサービスの利用者たちに、試作を重ねてきた握りずしや寒ダラのどんがら汁などを提供し、「おいしい」と好評を得た。

 同研究会は昨春、鶴岡地区の和洋の料理人が中心になり、医療専門職の関係者らと結成した。高齢化の進展に伴い、飲み込む力が弱まる「嚥下障害」の人が増える中、安全においしく食べられる食を研究している。従来の嚥下食は機能重視で細かく刻んだり、ペースト状にするのが主流だが、同研究会では旅館や飲食店で提供することを想定し、地元の旬の食材や色、形、風味にもこだわり、満足度の高い嚥下食を目指している。SFは英語の嚥下食(スワロー・フード)のこと。

 今回の実食会は、市料理人等技術向上支援補助金の交付を受けて開催した。延味克士代表(52)=湯野浜温泉保養所うしお荘支配人、メンバーの五十嵐督敬さん(35)=ブラン・ブラン・ガストロパブオーナーシェフ=の2人が、地魚の握りずしや豚の角煮、寒ダラのどんがら汁、白子のグラタン、ティラミスの5品を作った。

 すしのシャリは、米を全がゆに近いほど柔らかく煮た後、常温でも崩れないゼラチン状凝固剤で固めた。ブリや甘エビなどのネタは細かく刻んでシャリに載せた。のりは、上あごに張り付くなど高齢者には危険な食材だが、昆布だしで煮た後、ミキサーで繊維をほぐし、寒天で板状に固めるという手間をかけて軍艦巻きに使った。どんがら汁は、タラの身に山芋などを混ぜてつみれにした。角煮は、ペースト状にした豚肉の表面に、薄い豚肉を載せ、見た目にもこだわった。

 この日はデイサービス利用の60―90代の25人に料理を提供。3年ぶりにすしを食べたという女性は「どれも柔かく食べやすいし、最高においしい。生きてて良かった」と大満足の様子。奏を運営する「とよみ」の小川豊美代表取締役は「普段も一般的な嚥下食は出しているが、今日のみんなの喜び方はいつもと違う。今後も季節ごとに出せたら」と話した。

 延味さんは「なるべく形や色も本来に近いものにこだわった。地元の新鮮な食材を使うことで、形が変わっても風味を楽しめるようにした。高齢者も若い人と同じように、いつでもどこでも地元のおいしいものを食べられる環境づくりを進めたい。嚥下食を提供する料理人が増えてほしい」と話した。4月からはうしお荘のランチでも提供していくという。

 同日は実食後、オンライン研修会としてこの日の料理を解説するとともに、管理栄養士でもある小川さんと瀬尾利加子さん(瀬尾医療連携事務所代表)が「これからの外食産業への期待」をテーマに対談した。

嚥下食の握りずしなどを食べる奏の利用者たち。右奥は延味さん
嚥下食の握りずしなどを食べる奏の利用者たち。右奥は延味さん

地元食材を使った嚥下(えんげ)食
地元食材を使った嚥下(えんげ)食


2021年(令和3年) 2月11日(木)付紙面より

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おひなさまのあられ作り 酒田 十坂こども園の園児たち

 来月のひな祭りを前に、酒田市の十坂こども園(上野奈穂子園長、園児137人)で10日、おひなさまに供えるあられ作りが行われ、年中―年長児計55人が挑戦。園内で2週間ほど乾燥させ、来月上旬に“食べごろ”になるという。

 40年近く続いている同園の恒例行事。上野園長によると、既製のスナック菓子が出回り始めた1980年代、園児たちから手作りの味を知ってもらおうと始まったという。この活動を含め今でいう「食育」に関する取り組み発表で同園は88年、「都市や地域の食生活イキイキ体験発表」農林水産大臣賞を受けている。

 この日は、55人が好みでカレー、ココア、青豆の3グループに分かれ、それぞれ挑戦。このうちココア味のあられ作りでは、ふかした餅米に細かくした大豆とココアパウダー、塩、砂糖を入れ、よく攪拌(かくはん)。小分けしたものを受け取った園児たちは、ひな祭りに思いをはせながら粘土状のものを棒状に伸ばした。

 つまみ食いして「おいしい」と歓声を上げた高橋柊弥君(6)は「上手にできた。早く食べたい」と。岩舘大耀君(5)は「伸ばすのが楽しかった」と話した。上野園長によると、職員が切って2週間ほど園内で乾燥。完成したものは各家庭に持ち帰って供える他、おやつとして提供するという。

あられの「素」を棒状に伸ばす園児たち
あられの「素」を棒状に伸ばす園児たち



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