2021年(令和3年) 3月5日(金)付紙面より
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産後の女性に向けた出産祝いを贈ることで母体をねぎらい、間接的に子育てをサポートしていこうと、庄内地域在住者が中心となった社会実験プロジェクト「TOKOAGE GIFT(トコアゲギフト)」が先月、始動した。事業の一環として出張マッサージや心のケア、料理作り代行などの“贈り物”を紹介するサイトを設立。子どもを望む人が自然と産みたいと思える社会を目指す。
好きなことで身近な困り事を解決する“ナリワイ”づくりを通じ、起業家を生み出すことをコンセプトに起業講座などを展開する「鶴岡ナリワイプロジェクト」(井東敬子代表)が企画・プロデュース。昨年末、同プロジェクトのメンバー間で産後や出産祝いについて話題になったことを契機に、女性4人が発起人となりトコアゲギフトを立ち上げた。
名称は、大病や出産から回復して寝床を片付けることなどを意味する「床上(とこあ)げ」に由来。妊娠、出産、育児と続く女性の心身の養生をサポートしたいとの思いが込められている。
立ち上げに先立って今年1月、発起人の一人がSNSを通じて“先輩ママ”たちから意見を募ったところ、家事・料理の代行、育児の相談・話し相手、出張マッサージ・エステ、ベビーシッターが欲しかったという意見が散見された。うれしかったこととしては作り置きの食事、買い物・料理の代行などがあり、“形には残らないサービス”の必要性が浮き彫りとなった。
こうした意見を基に、トコアゲギフトではサービスを必要とする人と提供する人をつなぐ仕組みをつくろうと、サイトを開設。鶴岡市を中心に酒田市や大江町、兵庫県、広島県、新潟県の全国各地で活躍するセラピスト、助産師、鍼灸師、管理栄養士、カウンセラーなど、ナリワイプロジェクトとゆかりのある人に呼び掛けた。
現在サイトでは▽産後のホルモン変化や授乳、夜泣きで睡眠不足になりがちな体をマッサージし、出張も可能なリラクセーション▽数日分のおかずのケータリングや食事の作り置き代行サービス▽オンラインを中心としたカウンセリング▽授乳中も安心して口にできる無添加の手作りレトルトパック―など産後の女性にアプローチしたサービスや商品を紹介。これから育児を控える男性に向けた“新米パパ講座”を受講できるサービスもある。
トコアゲギフト代表でセラピストの諏訪部夕子さん(46)は「世代によって育児は『私の頃はもっとつらかったのに』と言われがちで、困っているときやつらいとき、周囲に助けを求めづらい人がいる。トコアゲギフトをきっかけに産後のお母さんが一人で抱え込むことがなくなれば」と話している。
サービスを利用するにはインターネットで「TOKOAGE GIFT」と検索するか、QRコードを読み込んでサイトへアクセスする。贈りたいサービスや品を選び、注文フォームで利用方法の確認や代金支払いの手続きができる。出張を伴うサービスの利用については対象地域に限られる場合がある。問い合わせは同サイトの問い合わせフォームから。