2021年(令和3年) 3月7日(日)付紙面より
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鶴岡商工会議所(加藤捷男会頭)の「鶴岡ものづくり企業懇談会」が5日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、今月末で退任する鶴岡工業高等専門学校の高橋幸司校長の講演と、地元企業関係者を交えたパネルディスカッションを通じ、「鶴岡高専が担う鶴岡の未来」を考えた。
地元のものづくり企業の情報交換や交流を狙いに毎年、会員企業を対象に開催。本年度は、2016年4月から5年間にわたり務め、地元企業の活性化にも尽力した高橋校長への感謝を込め、鶴岡高専にスポットを当てた。会場で約60人、ウェブで約10人の計約70人が参加した。
初めに講演した高橋校長は鶴岡高専と地元企業との関わりについて、学生たちが地元企業で賃金をもらって就業体験する「CO―OP教育」、地元企業からテーマを募集する卒業研究など多彩な連携事業を紹介した。
今後の地域企業に求められることについては▽コアコンピタンス▽マーケティング▽現地現物主義―の3点を指摘。「コアコンピタンスは自社の強みを掘り下げること」と、精密加工技術を生かして木製のブロック玩具を開発した事例などを紹介。より多くの卒業生を地元に残すための方策として、「高専応援団」として高専卒業生の初任給を大卒と同等にするよう働き掛け、県内では既に11社が導入した実績にも触れた。
地元企業が生き残るための鍵については「ものづくりだけでなく、経営が重要になる。特にコアコンピタンスが大切。思い込みをやめ、どこに自社の強みがあるか見つめ直して」と呼び掛けた。
続くパネルディスカッションでは、高橋校長と高砂製作所の阿部信弘生産主幹、東北ハムの帯谷伸一社長、渡会電気土木の武田啓之社長のパネリスト4人が、鶴岡高専の神田和也副校長の司会で「産学連携が叶える、鶴岡の未来とは」をテーマに語り合った。「地元企業は売り方が下手なので、改善が課題」「高専と共同研究をしたい」「異業種が交流して課題提起する場を、高専が核になってつくって」など高専への期待を含め活発に意見が交わされた。