2021年(令和3年) 6月19日(土)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(奥泉和也館長)と新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)は18日までに、海外の研究機関との共同研究により、同館などに以前から展示している「ギヤマンクラゲ」が新種であることが分かったと発表した。
「ギヤマン」はオランダ語で「ガラスのように透明な」という意味。1925年に日本で初めて発見されて以来、北米で見られる学名「ティマ・フォルモサ」と同種と考えられてきた。
今回の研究は両館の他にロイヤルオンタリオ博物館(カナダ)、アメリカの海洋調査探検隊、ハワイ太平洋大学と共同で行われた。加茂水族館は宮城県と福島県の2地点で採取したクラゲや幼生ポリプの標本などを提供。新江ノ島水族館の2地点と合わせ、太平洋沿岸の4地点で採取した標本の形態やDNAを分析したところ、これまでに存在しない新種であることが判明した。
学名は新たに「ティマ・ニグロアニュラータ」(ラテン語で『黒い環』)、和名は変わらず「ギヤマンクラゲ」とした。傘の縁に見られる黒い模様が特徴で、学名の由来にもなっている。成長すると傘の直径は6センチほどになる。
この研究成果は10日に学術雑誌「ズーロジカル・サイエンス」のオンライン版で公開され、加茂水族館もホームページやSNSに掲載。同館では2014年6月の現施設オープン以前から展示している人気のクラゲで、現在展示中のものも福島県で採取した「ニグロアニュラータ」。今回の発表を機に水槽に新種である旨を記載したラベルを貼った。
飼育課の池田周平さんは「飼育してきたクラゲが新種だったなんてびっくり。思い込みではなく、しっかり調べないと分類できないと感じた。今回の結果からお客さんには、今見ている生物ももしかしたら新種かもと感じながら見てもらえたら」と話した。