2021年(令和3年) 6月25日(金)付紙面より
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庄内地域の魅力を発信するオンラインカルチャー講座「ふるさとにっぽん―山形庄内編」の第4講が23日夜、鶴岡市羽黒町松ケ岡のワイン醸造所「ピノ・コッリーナ」で行われた。若葉旅館(酒田市本町二丁目)の矢野慶汰専務とピノ・コッリーナの長谷川夕香支配人が、地元食材を使った創作フレンチのフルコース料理を紹介しながら対談し、出羽三山やユネスコの食文化創造都市、来年に入部400年を迎える庄内藩酒井家など、鶴岡地区の歴史・文化の魅力を国内外にライブ配信した。
この講座は、旅行代理店大手のユーラシア旅行社(東京都)がアフターコロナの観光誘客を見据えて企画。庄内編は、若葉旅館の矢野専務が同社の元社員という縁で、今年3月から4回にわたり庄内各地で、受講料1回1500円で開催。今回は最終講で、英国や米国、ギリシャ、オーストラリアの海外を含め77人がオンラインで受講した。
矢野さんと長谷川さんはピノ・コッリーナ2階のレストランで約1時間にわたり、「サザエのエスカルゴ風」「庄内牛フィレ肉のソテーとだだちゃ豆のコロッケ」などの料理を紹介しながら、対談した。
矢野さんは「出羽三山と伊勢は陰と陽のように対。羽黒山は現在、月山は過去、湯殿山は未来を表し、三山を登ることで生まれ変わると考えられてきた。中南米にも似たような考えがある」と添乗員として世界150カ国を訪ねた経験を生かし、鶴岡地区の精神文化を紹介。長谷川さんは「麦切りはうどんと似ているが、微妙に違い、夏場に冷たくして食べるとおいしい。(鶴岡市に約60種あるという)在来作物は守っていくという志がないと守れない」と食文化の魅力などを語った。
途中、酒井家第19代後嗣の酒井忠順さんが事前収録した動画で、庄内と西郷隆盛の関係、旧藩士が刀を鍬に替え松ケ岡を開墾した歴史、入部400年に向けた酒井家の墓所公開の動きなどを紹介した。
終了後、矢野さんは「4回の講座を通じ、庄内はすごいところだと再認識。豊かな自然や食、精神文化など、海外の人が求めているものが全てある。実際に足を運ぶ一つのきっかけになれば」、長谷川さんは「コロナ禍でも、工夫次第でいろいろな発信ができると教えられた。鶴岡、酒田が別々でなく、連携して面的に発信することでより大きな効果が期待できるとも感じた」と話した。