2021年(令和3年) 7月4日(日)付紙面より
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荘内銀行(鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つ共同持ち株会社フィデアホールディングス(HD、仙台市)と東北銀行(盛岡市)が2日、2022年10月1日の経営統合に向けた協議入りを発表した。東北銀がフィデアHD傘下に加わる形で統合し、山形、秋田、岩手の東北3県を主な営業基盤とする広域連合の地銀グループとなる。
フィデアHDは09年、荘内銀と北都銀が経営統合して発足。それぞれの名称は変えず傘下の銀行は顧客サービスに注力し、持ち株会社が本部機能や経営企画立案を担う。目指す方向が同じ銀行に扉を開く「オープンプラットフォーム」方式をとり、他行の参加も促してきた。
フィデアHDと東北銀の統合後の総資産は4兆2429億円(21年3月期末時点)で、東北では七十七銀行(仙台市)、東邦銀行(福島市)、22年4月共同持ち株会社設立・24年4月合併予定の青森銀行(青森市)とみちのく銀行(同)に次ぐ「東北4位」の規模になる。
フィデアHDの田尾祐一社長(荘内銀行頭取)と東北銀の村上尚登頭取、北都銀の伊藤新頭取の3行トップは2日午後、仙台市内で記者会見した。
統合を決めた背景として田尾社長は人口減少、低金利の長期化、異業種参入による競争環境の変化を挙げ、本部機能やシステムなどの統合・共通化を進め「県境を越えた広域連合で収益強化を目指す」と述べた。3行は営業ノウハウを共有するなどし、広域性を生かして事業継承やビジネスマッチングの幅を広げる。
フィデアHDと東北銀は18年2月、包括的な業務提携を締結。提携から統合へと踏み出す東北銀の村上頭取は「経営体力が安定しているうちに合流することが最良と考えた。築き上げてきたビジネスモデルも維持できる。フィデアHDは有価証券の運用に強い」と説明し、連携に期待した。北都銀の伊藤頭取は「仲間が増えることは心強い。統合効果を評価してもらえた」と歓迎し、田尾社長は「同じ思いを持つ銀行なら合流してほしい思いはある。デメリットはない」と述べ、一層の連携拡大に意欲を示した。
東北では、地銀連合による「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIHD(東京)が19年に福島銀行、20年にはきらやか銀行(山形市)と仙台銀行を傘下に持つじもとHD(仙台市)と、それぞれ資本業務提携を進めた。今年5月には青森銀とみちのく銀が統合協議入りを発表。地方の金融機関を取り巻く環境がさらに厳しさを増す中、生き残りに向けた地銀再編の動きが今後とも注視される。