2021年(令和3年) 7月28日(水)付紙面より
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鶴岡市が9月に実施する方針を示し、市議会7月臨時会に提案したスマートフォンのキャッシュレス決済サービスと連携した消費喚起キャンペーン事業について、27日に開かれた市議会予算特別委員会産業建設分科会は審議の結果、賛成者がなく、市議会全会派の委員全員の反対で否決された。財源のほとんどを国の臨時交付金ではなく市の“貯金”に相当する地域振興基金を充てることが問題視されたほか、決済機能を導入しない事業者やスマホを所有しない市民が恩恵を受けることができず「市の自主財源を使用する事業としては、不公平感が強く残る」との指摘、意見が相次いだ。
キャンペーン事業は、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少している市内の中小店舗の事業者支援を目的に3―4月実施と同様の仕組みで、9月に再び行う内容。26日開会した7月臨時会に関連経費を盛り込み、本年度一般会計補正予算案として提案した。財源は地域振興基金繰入金2億9122万円、国の臨時交付金27万円。
分科会の審議では「キャンペーンに加盟していない店舗には恩恵がない。加盟も、高額なスマホを持つ持たないも個人の選択の自由であるにもかかわらず、格差を解消しない中での実施は見送るべきだ」「市の事業で格差を拡大する点が問題。住民の一体感を醸成し地域振興を図る目的の基金を活用するのは疑問が残る」など指摘があり、分科会長を除く6人による採決の結果、賛成はなかった。市議会の4会派のうち、新政クラブ、共産党市議団、市民クラブ、公明党の各所属委員すべてが反対に回った。
審議の中では「10月の市長選前の9月実施は市長の選挙対応ではないか、との意見が市民にはある」「市当局提案に全会派が反対を表明するということは、提案者への不信任にも等しい」などの意見もあった。
皆川治市長は臨時会開会の26日の本会議の総括質疑で、「加盟店の決済システム利用料負担が発生する前の9月の実施が適切だと判断した」などと述べた。
事業の補正予算案の歳入部分について審議した26日の予算特別委員会総務分科会でも、賛成少数で否決された。臨時会最終日29日には予算特別委と本会議で審議が行われる。
2021年(令和3年) 7月28日(水)付紙面より
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鶴岡市上名川の月山ダムで25、26の両日、見学会が開かれ、県内外のダムファンが堤体内の監査廊(点検用通路)や堤頂部のクレストゲートなど、普段は見られない設備を見学、ダムの働きへの理解を深めた。
ダムを管理する国土交通省月山ダム管理所(田川和義所長)が毎年、「森と湖に親しむ旬間」(7月21―31日)に「月山ダムの集い」の一環で実施している。今回はコロナ禍の密を避け、1回につき10人程度まで、2日間で5回、合わせて約40人が参加した。
26日午前の回ではダム天端(堤頂部、標高270メートル、ダム高123メートル)から堤体内のエレベーターで102メートル下まで下り、監査廊を通り、洪水調節用大容量放流口「コンジットゲート」、堤頂部中央にある非常用洪水吐き「クレストゲート」などを見学した。
スタッフから「月山ダムは1981年から2001年まで20年の歳月をかけて建設された」「クレストゲートは100年に一度の洪水を想定した非常用だが、毎年10月1日から5月下旬ごろまで開けて放水する」などの説明を聞いた。監査廊の一部には天井や両壁に多数の青色LEDをともした幻想的な空間もあり、楽しそうに記念撮影した。
また、ダム下流に取水口がある梵字川発電所も見学し、東北電力職員から「88年前の昭和8(1933)年にできた水力発電所で、出力は3000キロワット。一般世帯約2500戸分を発電する」などの説明を聞いた。
10年ほど前から全国数百カ所のダムを訪れダムカードを集めているという群馬県渋川市の男性会社員(57)は「月山ダムは6、7回目。監査廊やゲート近くの通路など、他ではあまり行けないところも見せてくれるのが魅力」、地元の男性は「もともとは自然が好き。ダムは人間の技術で自然に対峙し、同時に、調和するように存在している面白さがある」と語った。
月山ダムの見学は随時受け付けている。問い合わせは同ダム管理所=電0235(54)6711=へ。