2021年(令和3年) 9月11日(土)付紙面より
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佐藤美唯(さとう・みゆ)さん
「私にしか作れない、私らしい作品を作りたい」。体つきや表情など、制作者の個性がよく表れる彫刻。完成させたものをいつも客観視し、自分らしさを模索しながら制作に励む。白甕社美術展(12日まで、鶴岡アートフォーラム)の白甕社賞の受賞について、「入賞できればいいなと思っていたのですごく驚いた。私よりもベテランの人がたくさんいる中で、大変恐縮」と謙虚に話す。
小さい頃から絵を描くのが好きで、鶴岡中央高では総合学科美術・デザイン系列に所属。油絵に磨きをかけるため、東京の女子美術大の短期大学部造形学科美術コースに進学するが、授業の中で彫刻に魅了された。「これまでは平面の絵でいかに立体的に描くかを意識していたので、360度好きなように作れることにとても感動した」と振り返る。また、人間の筋肉の付き方や骨格の複雑な動きに関心があり、人体を中心に制作するようになった。
今回の受賞作品は、短大時代の卒業作品。高さ約1メートル。モデルの女性にポーズを依頼し、4カ月かけて作った。「このような重心が複雑な立ち方は彫刻の中では珍しいと思う」とし、「右のあばら骨や左のお尻の張りが一番の特徴。左腕を後ろに回すことで肩の開きなども表現できた。見る角度によって作品の印象が全く違うので、いろいろな角度から見てほしい」と作品の見どころを語る。
今春に短大を卒業し、地元へ帰郷。現在は週5回のアルバイトで、あまり制作に時間を割けていないという。それでも、「やっぱり作品を作ることは楽しい。だんだんバイトに慣れてきたので、少しずつ制作に力を入れていけたら」と話し、「いつか高校や短大の仲間と一緒にグループ展を開きたい」と意気込む。
最近の趣味はアニメ観賞とお笑い芸人「とろサーモン」の動画を見ること。年代を問わずJポップをよく聴く。鶴岡市大山在住。21歳。