2021年(令和3年) 9月12日(日)付紙面より
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鶴岡市越中山のJA庄内たがわ「月山ワイン山ぶどう研究所」(成澤健所長)で11日、今季のワインの仕込みが始まり、スタッフが甘い香りに包まれながら、白ワイン用のブドウを破砕する作業に追われた。
同研究所の佐藤友紀月山ワイン係長(35)によると、今年は例年並みの今月8日から同市朝日地域と酒田市のJAそでうら管内の契約農家から白ワイン用ブドウ「セイベル9110」の入荷が始まり、10日までに約4トンとなった。「天候に恵まれ、糖度の乗りも良い」(佐藤係長)という。
この日は午前9時ごろからスタッフ5人が仕込み作業。コンテナに入ったセイベルを次々にベルトコンベアに載せ、除梗(じょこう)破砕機に投入。破砕されたブドウはホースで搾汁用タンクに運ばれ、周囲には甘い香りが広がった。
佐藤係長は「新型コロナで消費が低迷している上、昨夏は洪水で貯蔵庫が水浸する被害にも遭った。ブドウの生産者を守るためにも、より良いワインを造り続けたい。各家庭でも、地元産のおいしいワインを味わってほしい」と語った。
今後、赤ワイン用の「ヤマブドウ」「ヤマソービニオン」など、11月初旬ごろまで計約150トンを仕込む。発酵、熟成させ、早いものは来夏ごろから市場に出回るという。
月山ワインは旧朝日村農協が1972年、自生するヤマブドウのワイン研究を始め、79年からワインを製造。昨年4月にはフランスで開かれたフェミナリーズ世界ワインコンクールで「ソレイユ・ルバン ヤマソービニオン2018」が金賞を受賞するなど、地域の伝統と風土を生かした製品が高い評価を受けている。