2021年(令和3年) 9月17日(金)付紙面より
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鶴岡市の街づくり会社「ヤマガタデザイン」(山中大介社長)と、庄内地方の若手農業経営者でつくる「F.A.I.N」(ファイン)が15日、有機農業を中心にした持続可能な農業の普及拡大に向けた連携協定を締結した。自動抑草ロボットの実証実験や農産物の販売など多面的な連携で、農作業の所得向上などにつなげていく。
ファインは2017年、農業をより魅力ある産業にして次代に伝えていきたいと設立。遠藤広道代表(36)=酒田市引地=をはじめ、鶴岡市、酒田市、庄内町、三川町の20―30代の24人が農業技術に関する情報交換や研修などに取り組んでいる。耕作面積は、会員が中心的に関わる法人を含め24人で計約700ヘクタール(うち水稲は約620ヘクタール)。
今回の協定で連携するのは1水稲栽培2野菜、果樹栽培3農産物の販売4農業者の育成―の4項目。
このうち1では、ヤマガタデザインの関連会社「有機米デザイン」が開発している水田用自動抑草ロボットについて、ファインの会員10人が来年度、1台ずつ計10台、水田3ヘクタールで実証実験に取り組む。
2ではファインの会員がヤマガタデザインから環境負荷の低い栽培技術の情報提供を受け、野菜、果樹の栽培技術向上につなげる。
3では、ファイン会員がヤマガタデザインの有機農産物ブランド「SHONAI ROOTS」の基準に基づき栽培する農産物を、同社が持つスーパーや百貨店など40社超の販売網を生かし、連携して販売していく。同ブランドによる販売も視野に入れている。
4では、ヤマガタデザインが鶴岡市立農業経営者育成学校SEADSの運営を受託して培ってきたノウハウを生かし、連携して農業者の育成を進めていく。
この日、鶴岡市北京田のスイデンテラス前で行われた協定締結式では、山中社長と遠藤代表が協定書に署名した。
山中社長はあいさつで、政府が2050年の有機農業用農地を農地全体の25%(2018年現在では0・5%)に増やす目標を掲げているなど、有機農産物の需要が高まっていく流れを示し、「ファインと一緒に、日本農業のモデルをつくっていきたい」とした。
法人で水稲27ヘクタールを作付けする遠藤代表は「離農や高齢化など農業は多くの課題を抱えている上、最近は米余りで米価が下落し、庄内で中心の米農家は生活できなくなる。這い上がっていくにはICT(情報通信技術)など新たな試みが必要で、協定を機に有機にも積極的に挑戦したい」と意欲を新たにしていた。