2021年(令和3年) 9月19日(日)付紙面より
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県内の環境関連NPO法人などでつくる市民団体「ドリームやまがた里山プロジェクト」(代表理事・小谷卓鶴岡高専名誉教授)が今夏、廃車となったトラックの古タイヤをリサイクルしたゴムマットを開発・製作した。海辺に敷き、車椅子でも砂浜を楽に行き来できるようにと開発したもので、障害の有無にかかわらず誰もが海に親しめる庄内浜の「バリアフリービーチ」イベントで活用。車椅子利用者と介助者からは「車椅子のタイヤが砂に埋まることなく波打ち際まで移動でき、とても良い」と高い評価を得た。
ドリームやまがた里山プロジェクトは2015年11月、庄内地域を中心にした15団体で設立され、現在は会員22団体、賛助会員1団体で構成。自動車の使用済みパーツの再利用は、県内で廃棄される車両が年間約4万台に上っていることに着目し、資源循環型社会を目指して県自動車販売店リサイクルセンター(本社・山形市、遠藤榮次郎社長)の全面協力を得て、日本財団(本部・東京)の「海と日本プロジェクト」の助成を受け、取り組みを進めている。
2019年にはエアバッグやシートベルト、不要となった食品用発泡スチロールなどを活用し、県内の多様な団体、事業所の協力を得て、ライフジャケット100着を製作。昨夏は、鶴岡市鼠ケ関の「マリンパークねずがせき」で、車椅子やベビーカーの利用者でも浜辺まで近づき海に親しめるようバリアフリースロープを建設。コンクリートには廃棄車両の窓ガラスとバンパーを粉砕し混入、強度試験を経て施工した。同年、スロープ竣工記念イベントとして、ドリームやまがた里山プロジェクト主催の「バリアフリービーチイベント」が同所で開催された。
今夏は「自動車廃材のリサイクル製品でバリアフリービーチ」をテーマに同財団の助成を受け、他の海水浴場にもバリアフリービーチが展開できるよう、廃タイヤ活用のゴムマットを開発。縦1・8メートル、横0・9メートルのマット100枚を製作し、「ビーチがバリアフリー!?」と題したイベントを、遊佐町の西浜海水浴場と酒田市の宮海海水浴場で繰り広げた。
西浜海水浴場では8月6日から12日まで、コンクリート舗装が施されている監視員詰め所脇から波打ち際までの砂浜約100メートル区間にゴムマットを敷設。「バリアフリーデー」と銘打った9日は、車椅子利用者が訪れてマットの使い心地を確かめながら海に触れ、洋上バギーやいかだ乗りを体験し、庄内の海を満喫した。8月22日には酒田市の宮海海水浴場にゴムマットを敷き、訪れた子どもたちが車椅子使用を体験した。8月末に予定していたマリンパークねずがせきのイベントは新型コロナウイルスの影響で中止となった。製作したゴムマットは酒田市内の倉庫に保管し、無料で貸し出せるようにする計画。
自動車廃材をリサイクルし、障害者と健常者が共に海に親しむ機会を創出する取り組みは、全国的な話題にもなっている。里山プロジェクトの高橋雅宣事務局長は「鶴岡、酒田、遊佐の海水浴場に、体の不自由な人を含め誰もが海水浴を楽しめるユニバーサルビーチ(万人の海浜)をつくりたい。山形県・庄内がユニバーサルビーチの先進県となるための取り組みを、これからも進めたい」と話している。
2021年(令和3年) 9月19日(日)付紙面より
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パトカーが耳に優しいメロディーを流しながら交通事故の防止を広く呼び掛ける県警察本部の「パトメロ」の一環として、庄内警察署(武田浩明署長)は、庄内弁による広報メッセージで交通事故への注意を促している。
庄内弁によるメッセージを吹き込んだのは庄内地域出身“ネイティブスピーカー”の女性署員3人。「秋はのー、ばんげなんな早えなやのー。毎年、秋さなっど夕方の交通事故がいっぺぇ起ぎでんな」というオープニングに続き、早めのライト点灯、ハイビームの活用、夜光反射材の着用の徹底を庄内弁で呼び掛けている。今月21日から始まる「秋の交通安全県民運動」に先駆けて15日にスタートした。
メッセージを吹き込んだ女性署員は「聞きなれた方言で呼び掛けることで、子どもや高齢者に気を付けてもらうのが狙い。秋は特に夕方の事故が多くなるので、未然に防げれば」と話した。