2021年(令和3年) 9月28日(火)付紙面より
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政府が掲げる2050年までのカーボンニュートラル(脱炭素)社会の実現に向け、地域の将来展望など考察する意見交換会が25日、酒田市みずほ二丁目のガーデンパレスみずほで開かれた。江島潔経済産業副大臣と、地元経済界の代表が今後の方向性などについて意見を交わした。
地元経済界で組織する実行委員会(代表・加藤聡加藤総業社長)が企画。江島副大臣は、市と酒田商工会議所が主催し今年8月に開催した「カーボンニュートラルシンポジウム」にオンラインで出演。同シンポに引き続き脱炭素社会に理解を深めるとともに、今後の流れをどう捉え、どう動くべきか共に考えていこうと開いた。
市内では現在、風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギー施設が稼動。また、県と市は今年6月、洋上風力発電の拠点施設となる基地港湾の国指定を見据えた企業誘致、発電施設建設後における地域振興などを主な検討項目とする「酒田港基地港湾等カーボンニュートラルポート連携会議」を設立しており、脱炭素に向けた動きが加速している。
この日は前田直之前田製管社長の司会で、江島副大臣と、飼料用米を全国に先駆けて導入、太陽光発電にも取り組んでいる平田牧場の新田嘉七社長、市内に工場を構え、水素社会の構築に向けた事業の展開を図る日本重化学工業の角掛繁常務、地元で積極的に風力発電事業に取り組む加藤総業の加藤社長と対面で意見を交わした。
新田社長、角掛常務、加藤社長が自社の取り組みを紹介。これを受けて江島副大臣は「脱炭素は世界的な目標だが、その第一歩はそれぞれ地域で考えてもらうもの。官民が連携し協議を進めている山形、酒田の取り組みは、全国の素晴らしい手本になる」と評価した。
同省が昨年7月、二酸化炭素を多く排出する非効率な石炭火力発電所を2030年度まで段階的に休廃止する方針を示し、この中に含まれる可能性が高い酒田共同火力発電(宮海)について「酒田共火は東北電力にとって無くてはならない存在だが、脱炭素に向けてどう展開するか。ハードルは高いと感じる」と話した上で、「石炭を使わないという選択肢はなく、二酸化炭素を出さないための技術開発は続いている。国内の全発電量に占める石炭火力発電量の比率は3割。このうち半分は旧式。酒田共火同様、多くがこの課題に直面している。丸山至市長は産業界を巻き込んでこの問題に取り組んでおり、感銘を受ける」と解説。参加した市民ら約60人は熱心に聴き入っていた。