2021年(令和3年) 11月13日(土)付紙面より
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「爽(さわやか)」などで知られる焼酎メーカーの金龍(酒田市黒森、佐々木雅晴社長)は11日、遊佐町吉出に建設した「遊佐蒸(じょう)溜(りゅう)所」で記者会見を開き、同所で3年前に仕込み熟成させてきたシングルモルトウイスキー「THE YUZA DISTILLERY(ディスティラリー=蒸留所の意)」を、来年2月に発売すると発表した。佐々木社長は「本場スコットランドから大麦麦芽やポットスチル(蒸留釜)など最高クラスの原料、製造プラントを輸入し、大手メーカーができない手間暇をかけて造ってきた。世界に勝るとも劣らないウイスキーができたと思う」と自信を見せた。
同社は2017年5月、鳥海山の湧き水を水道水として供給している遊佐町で、県内初のウイスキー製造・販売事業に乗り出すと公表した。翌18年10月には完成した遊佐蒸溜所でスピリット(原酒)の蒸留を開始。原酒をホワイトオーク製のバーボン樽に移し、じっくり熟成させてきた。
初出荷となるのは、18年11月から19年1月に仕込んだ約150樽の中から40樽を厳選して混和・瓶詰めするウイスキー。「ファーストエディション2022」と銘打ち、1本700ミリリットルで希望小売価格は1万6500円。樽から取り出したまま一切の「割り水」をしない「カスクストレングス」のためアルコール度数は60?61度と高い。青リンゴやメロンを思わせる香り、クリームのように滑らかな舌触りが特長という。
試飲した男性は「度数が高いわりにビリビリしないでスムーズ」と感想を述べた。出荷先は国外3割、国内7割を予定し、うち4分の1ほどを県内の酒販店などで取り扱う。
日本のウイスキーは近年評価が高まり、世界的なコンテストでしばしば最高賞を取るようになった。佐々木社長は「今後の熟成具合を見ながら」とした上で、一つの樽だけのウイスキーを瓶詰めした「シングルカスクの製造も考えている」と明かし、世界規模の品評会にも「ぜひ出品したい」と意欲を示した。