2021年(令和3年) 11月24日(水)付紙面より
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酒田市の「いかのまち酒田戦略会議」(会長・菅原正成市農林水産部長)が企画した「地域食材の魅力発見!講習会」が21日、同市の酒田調理師専門学校(土門陽吉校長)で開かれ、学生と地元料理人が、講師を務めた仙台市で中華料理店「楽・食・健・美―KUROMORI」を経営する黒森洋司さん(45)の華麗な包丁さばきに見入り、講話に耳を傾けた。
酒田港からは毎年6―12月、150トン前後の中型船が十数隻の船団で、日本海を北上するスルメイカを追って島根県沖からオホーツク海まで操業。釣り上げたイカを船内で急速冷凍し、身も肝もおいしさを保った「船凍(せんとう)いか」は、県外船を含め年間2000トン前後が酒田港に水揚げされ、同港の水揚げ量全体の6割、金額でもほぼ半分を占めている。
同戦略会議は、同市の漁業・水産振興を図るため昨年2月、官民で結成。今年1月にはNHK総合「きょうの料理」などでおなじみの野崎洋光・分とく山総料理長を招いて講習会を開催している。
2回目となった今回、講師を務めたのは、シンプルながらも地元食材のうま味を最大限に引き出した中華料理に定評がある黒森さん。同校の学生と地元料理人計約50人が参加した。最初に黒森さんが「地域食材の魅力と料理への取り組み」と題し講話、「日本の家庭料理のベースのほとんどは中華料理。そのため、あきがこない」「昼と夜でメニューを変え、全く違う店にしているのが特徴」「休日に産地訪問するのが何より楽しみ」などと述べた。
実技では、酒田で水揚げされた食材を活用しイカの肝和え麺、モクズガニを用いたもち米シューマイの2品を紹介。見事な包丁さばきを見せながら「食材としてスルメイカやモクズガニをどこまで表現できるかが大切」などと解説した。学生たちはメモを取りながら熱心に見入っていた。