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荘内日報ニュース


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2022年(令和4年) 1月1日(土)付け紙面より

新年あけましておめでとうございます

新年のごあいさつ
庄内の「士魂商才」
荘内日報社社長  橋本 政之

 「今もなほ殿と呼ばるることありてこの城下町にわれ老いにけり」
 旧庄内藩主酒井家17代・酒井忠明氏(さかい・ただあきら、大正6~平成16年、87歳)は、平成15(2003)年の新年歌会始「町」に召人(めしうどとして参内(さんだい)された。同道陪聴された18代・忠久(ただひさ)氏(75)は「父のこの歌で凛(りん)とした宮中が和やかになった感じがした」と記す。
 元和8(1622)年、酒井家3代・忠勝(ただかつ)公が信州松代から庄内に入部してから400年を迎えた。全庄内体制の酒井家庄内入部400年記念事業実行委員会が組織され、昨年から鶴岡や酒田の街角には「酒井家入部400年」「400年から学ぶ庄内 みんなでつなごう将来」ののぼりが立つ。今年10月に記念式典、荘内400年大祭などが計画されている。
 日本の「資本主義の父」「実業界の父」と称される渋沢栄一(天保11~昭和6年、91歳)の生涯を描いたNHK大河ドラマ「青天を衝け」は年末に最終回が放映された。2年後には新一万円札の顔として登場する渋沢栄一。その講演など口述をまとめた談話集(1916年刊)の再刊『現代語訳 論語と算盤(そろばん)』(著者・渋沢栄一、訳者・守屋淳 ちくま新書)に、400年前の酒井家についての記述がある。
 第一章「処世と信条」。適材適所に人材を配置する「わが国の古今を通じて」の達人は徳川家康とし、徳川御三家や越後の榊原、会津の保科とともに、代々忠義の厚い家臣を要所に置いた例の一つに「出羽の酒井」を挙げている。
 「青天を衝け」の時代考証を担当した東北公益文科大学の門松秀樹准教授(47)は弊社との共同研究で「(酒井)左衛門尉(さえもんのじょう)家は徳川家にとっての『切り札』だった」とした。家康の時代の天下取りで「徳川四天王」筆頭と言われた初代・忠次(ただつぐ)公の子孫が、その後、幕府重職にほとんど就かなかったことについて「左衛門尉家の出番は徳川家の非常時であり、天下泰平の破れるとき」とし、蝦夷(えぞ)地警固や江戸市中警備など酒井家が頻繁に幕府の役職を勤めるようになってから十数年で大政奉還を迎えたことが、その証左という。
 東北公益文科大学は今春、開学から22年目を迎える。ここ5年連続、県内外から定員を超える入学者を迎え全体で約1千人の学生が酒田市の学部、鶴岡市の大学院、そして庄内全域もキャンパスにして学ぶ。
 昨年末の理事・評議員会で新田嘉一理事長(88)は「最近会った卒業生が『私は公益大学の出身です』と胸を張ってあいさつしてくれた。大学の評判が悪かったらこんなことはない。地域に浸透し認知され、若い皆さんがこの大学を中心に活躍する、こんな時代が来るとは思ってもみなかった」と、新体制を敷き経営改革を始めた10年前を思い返した。そして「私立大学の定員確保が難しい時代に堅実に推移している今が、この大学の正念場」とし、地域を支える人材育成機関として存在し続けるために経営の「公立化」を最重要課題として改めて強調した。
 「この大学を残し今後も健全に発展させるためには庄内5市町と山形県が、地域を豊かにする、庄内全体、山形県全体を豊かにするものととらえてほしい。大学を残せる地域が生き残れるし、残せない地域は衰退する。心を一つにして公立化に取り組んでいただきたい」と結んだ。
 渋沢栄一は明治の日本が欧米列強に伍するための「処世と信条」として「士魂商才(しこんしょうさい)(武士の精神と、商人の才覚を併せ持つこと)」を提唱した。この視点で、平田牧場を興し一代で全国銘柄にする一方、地域の経済団体や官民組織を牽引してきた新田理事長の歩みを見ると、昨秋に開港30周年を迎えた庄内空港、日本海側拠点港として力を付け国際貿易も注目される酒田港、歴代首相に直談判を重ねてきた日本海沿岸東北自動車道、そして公益大学など分野を問わず多くの跡がある。
 家康の時代から酒井家が住まい続ける庄内の土地柄について新田理事長は「殿様がしょっちゅう代わった土地とは明らかに違う。庄内の今は酒井家のおかげ」と、よく言う。
 新田家は約180年前、天保の「三方領智替(さんぽうりょうちがえ)」を阻止した農民の中に名を連ねる。150年余前の戊辰戦争の結果、会津若松へ、磐城平へと庄内に転封が命じられたときは、天保の「三方領智替」阻止の経験が生かされ官民をあげた運動が奏功し転封は撤回され、多額の献金は要したが酒井家の庄内復帰がかなった歴史も伝わる。
 「士魂商才」を体現しながら齢を重ね、この正月で数え90を迎えた新田理事長は今年、「徳川の切り札」の歴史にも学びながら、なお収束がみえないコロナ禍を超え天下泰平を取り戻す人づくりの拠点となる公益大学の「公立化」という宿願を果たす覚悟だ。
     ◇
 新年明けましておめでとうございます。日ごろ「荘内日報」をご愛読、ご利用いただき誠にありがとうございます。「荘内日報」は、「庄内はひとつ」を創刊の理念に1946年、前身の「荘内自由新聞」の週刊発行に始まり、「時代をつなぎ、地域をつなぎ、心をつなぐ」を郷土紙の使命としています。本年も変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。

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