2022年(令和4年) 1月20日(木)付紙面より
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鶴岡市出身で、兄弟都市・鹿児島市の住民と多彩な交流活動を行っているグラフィックデザイナー、廣嶋育子さん(46)=山形市=が、「命」をテーマに鹿児島市内の有志が作った絵本のデザインを担当し、より絆を強める役割を果たした。
廣嶋さんは、仕事の壁に突き当たり悩んでいた2015年ごろ、庄内人が西郷(南洲)隆盛の言葉をまとめた「南洲翁遺訓」の「敬天愛人」などの言葉に出合い、救われたという。以来、鹿児島を度々訪問し、西郷と関わる人たちとの交流を深めている。
今回製作に関わった絵本は「いただきます」。鹿児島市の田園地帯を舞台に、子どもたちが水田でかわいがってきたアイガモがある日突然いなくなり、テーブルの料理になっていることにショックを受ける。そこにやってきた和尚さんから「人間は他の動植物の命を頂いて生きている」といった話を聞き、感謝とともに料理を頂くという物語。B5判30ページ。
原作は、鹿児島市の天台宗寺院・南泉院の宮下亮善住職。同市の南洲哲学研究会の山城洋一代表がその話に感銘を受け、子ども向けに絵本化することを企画、文章を書いた。イラストはともに素人ながら絵を得意とする同市の笹川ひとみさん、同市出身で大阪市在住の新地章史さんが担当した。
廣嶋さんは以前から山城さんや、新地さんの母親で南洲哲学研究会代表補佐の新地佐智子さんと親交がある縁で、文章や絵の配置など絵本全体のデザインを担当した。鹿児島の新地家には2014年、当時章史さんが通っていた大龍小学校の姉妹校という縁で、鶴岡市の朝暘二小の児童が2泊3日にわたりホームステイし、今も家族ぐるみで交流している縁もあるという。
廣嶋さんは「鹿児島と山形と離れていても、西郷さんの縁で、人として大切にしなければいけない『命』をテーマにした絵本製作に携われたのは光栄」と感想。また、「鹿児島で偶然会った人が、鶴岡の人と家族ぐるみで付き合っていることを知り、あらためて人は、つながりの中で生かされていると感じた。今後も縁を大切にしたい」と話した。