2022年(令和4年) 1月20日(木)付紙面より
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皆川治鶴岡市長(47)が2017年10月の市長選期間中に支援者から受領した現金100万円の寄付を選挙運動費用収支報告書に記載していなかった問題で、市議会は18日、議員全員協議会を開き、皆川氏にあらためて説明を求めた。皆川氏はこれまでの説明を再度変え、支援者に返したとする現金を自身や親族の口座などから用意したことを明らかにするとともに、収支報告書を今月17日付で再訂正したことを説明した。市議会最大会派の新政クラブは同日、皆川氏の説明が二転三転し一貫していないとして、議会が強い調査権限を持つ「百条委員会」の設置を、25日に予定されている臨時会に提案する方針を決めた。設置案は可決される見通しで、市議会事務局によると、設置されれば鶴岡市政では初となる。
皆川氏は昨年8月28日に支援者宅を訪れ、寄付と同額の100万円を置いてきたとされる。この100万円をめぐってこれまで、「寄付は使っていない」「自己資金の立て替えとして選挙運動資金に充てた」「選挙運動資金の余剰金として返した」などと説明してきた。
この日の全員協議会で皆川氏は、返金したとする100万円の原資について「自分と妻の口座と義母から借りた」と述べ、従来の説明を再度変更。その上で「(自身の資金を支援者に)誤って渡してしまった」と釈明した。
自己資金を支援者に渡した形になり、公職選挙法が禁止する選挙区内での寄付行為に当たる可能性が高いとして、市議から指摘が相次いだ。皆川氏は、この点についても弁護士と相談したとし、「(返金した100万円を)支援者が寄付と受け止めているとは考えられない。相手方の対応を待つように専門家から助言をいただいている」と述べた。市議からは辞職を求める意見があったが、進退について皆川氏は「今後も全力で市政の前進を図っていく」と述べた。
全員協議会終了後、市議会(定数28)で最大会派の新政クラブ(12人)は会派会議を開き、事実関係調査のための「百条委員会」設置について、臨時会に提案することを決めた。尾形昌彦団長は「説明が二転三転し、真実が分からない。行政をつかさどる首長として適性が問われる」と話した。
百条委員会は本会議で出席議員の過半数の賛成があれば設置できる。市議会公明党(3人)の富樫正毅代表は「選挙区内への寄付の疑義が、さらに強まった」として、設置に同調する考えを示した。会派無所属(3人)の中からも同調者があるとみられ、百条委員会設置案は可決される見通し。
一方、共産党市議団(4人)の加藤鑛一団長は「問題が百条委員会設置に該当する行政事務として認定できるのか議論が必要であり、直ちには設置に賛成できない」、市民の声・鶴岡(2人)の草島進一代表も「百条委員会設置に該当しないのではないか」と話した。
市民フォーラム(同)の石井清則代表は「市長の説明にはまだ疑問が残る。裏付けが取れる形での調査が必要」、SDGs鶴ケ岡(同)の田中宏代表は「説明が十分とは言えないが、現時点で優先すべきは新型コロナウイルス対策」と語った。
百条委員会
地方自治法第100条に基づき、地方議会が設置し、自治体の事務に関して調査を行う特別委員会。強い権限を持ち、調査対象の関係者に出頭を求めて聞き取りをしたり、証拠や記録の提出を要求したりすることができる。正当な理由なく証言を拒否したり、うその証言をしたりした場合は、6カ月以下の禁錮、または10万円以下の罰金が科せられる。