2022年(令和4年) 5月24日(火)付紙面より
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出羽の古道「六十里越街道」歩きのシーズン開幕となる安全祈願祭が21日、鶴岡市田麦俣の多層民家前で行われた。参列者がシーズン中の安全を祈願し、ミニトレッキングに出発した。
祈願祭はコロナ禍もあって3年ぶりの開催。地元の観光関係者、庄内や最上地方からのトレッキング参加者合わせて約40人が出席し、主催者のあさひむら観光協会の松本壽太(とした)会長が「みんなで気持ちよく、3年分を取り戻すように楽しんできてほしい」とあいさつ。松本会長や同市朝日庁舎の鶴見美由紀支所長らが玉串をささげ安全を祈願した。
祈願祭後、参列者は千手観音のように大きく枝を広げる街道のシンボル「千手ブナ」が見える辺りまで、往復約6キロをミニトレッキングした。6月上旬までは残雪の影響でそれより先に進めないという。鶴岡市出身で金山町から参加した天口羅夢さん(24)は「小さい頃に何度か六十里越街道を歩いたことがある。今日は自然を満喫したい」と話した。
あさひむら観光協会は11月下旬ごろまで六十里越街道で各種イベントを織り交ぜたトレッキングツアーを企画している。
2022年(令和4年) 5月24日(火)付紙面より
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移動販売の「キッチンカー」が庄内で増えている。コロナ禍となった2020年から昨年までの2年間で新たに23台が庄内保健所に登録した。大型店からオファーを受けるケースのほか、市や町が主催するイベントに「来てほしい」という依頼もある。コロナの収束が見えない中、今後も機動力のあるテイクアウトの販売スタイルとして注目を集めそうだ。
今年1月、鶴岡市の銀座通りで行われた恒例の「寒鱈まつり」のイベントでキッチンカーが大集合。実行委員会が呼び掛け20台近くが集まった。三川町ではゴールデンウイークに合わせて、いろり火の里とイオンモール三川でそれぞれ十数台のキッチンカーが営業し買い物客でにぎわった。
酒田市中町三丁目のビルで鉄板焼きとお好み焼きを提供する「神楽」のオーナー・堀多恵さん(49)は、コロナ禍の影響を受け「お店でお客さんを待つより、自ら外に出てチャレンジしよう」と昨年、総額約300万円でキッチンカーを導入。これまで海水浴場や食料品のスーパー、パチンコ店の駐車場に出向いて営業した。
「今年の2月はスーパーとパチンコ店で営業させてもらいましたが、良かったです。とても助かりました。今ではリピーターも増えてきました」と手応えを感じている。
5年前に焼き芋の移動販売(店名・そらいも)を始めた酒田市中町一丁目の三浦祐一さん(38)は「キッチンカーのメリットはどこにでも行けること。お祭りの出店のようにテントを張って準備したり、後片付けする手間もいらない。コロナ禍となってからキッチンカーは目に見えて増えましたね」と話す。
いろり火の里とイオンモール三川で「キッチンカーリレー」のイベントを行った三川町観光協会の担当者は「色鮮やかな車が集まるだけで楽しいし、それなりに誘客にもつながる。特にイオンモール三川の駐車場では期間中、たくさんの買い物客でにぎわいを見せた。これからも何らかのイベントをするときに呼ぶことを検討したい」と語る。
庄内保健所によると、キッチンカーで営業するためには保健所の許可が必要。手洗い設備と調理器具などを洗う洗浄設備のほか給・排水タンク、冷蔵設備などを備え、不備はないか検査を受けてから登録される。申請手数料は1万7000円。事前相談と必要書類の提出、設備の検査などを経て許可証が交付される。それまでに早くて約1?2カ月要するという。今年4月末現在、同保健所に登録されているキッチンカーは計55台。コロナ禍となった2020年は7件、昨年は前年の倍以上に当たる16件の新規登録があった。
キッチンカー導入には国と県、市がコロナ対策として支援する補助金制度もある。鶴岡商工会議所には、これまで国の補助金(最大50万円)を活用し、キッチンカーを導入した経営者もいる。経営支援課の担当者は「県の補助金制度は締め切られたが、国と鶴岡市はまだ申請できる。いずれも新しい営業形態に取り組む事業者を対象にバックアップする制度。申請して審査、採択されるまでに2カ月ほどかかる。補助金制度の詳しい内容や計画書づくりに関する相談があれば来てほしい」と話している。
「そらいも」の三浦さんは「これからもキッチンカーは増えるでしょうね。ただ飽和状態になれば、淘汰(とうた)されるのが自然の摂理。どの商売も当たり前のことだが、これまで以上に営業努力とお客さんに受け入れられる商品づくりが求められてくる」と見据えている。