2022年(令和4年) 8月4日(木)付紙面より
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「さざれ石の巌(いわお)となりて」―。鶴岡市羽黒町の出羽三山神社(宮野直生宮司)境内に、君が代の歌詞に登場する「さざれ石」が建立された。
国家の安寧を願おうと山形市平清水の会社員、深川正達さん(72)が寄進したもので、さざれ石の大きさは高さ1メートル35センチ、幅90センチ。深川さんが岐阜県から購入した石を使って地元羽黒町の「石のこばやし」(小林勝美社長)が1年かけて手掛けた。八角形の石で囲んだ真ん中にさざれ石を配置。合祭殿に向かって参拝できるよう方角を調整して施した。
2日に境内で行われた除幕式には深川さんや宮野宮司、小林社長ら関係者が参列。修祓式(しゅうばつしき)をへて参拝者にお披露目された。
深川さんの先祖・大越家は山形県内の神社仏閣の創建に携わり、歴史をひもとくうち出羽三山神社とも深い縁があることが分かった。さざれ石のそばには、寄進したいきさつなどを刻んだ説明石も備えた。
深川さんは「出羽三山神社に寄進することで先祖も喜んでくれていると思う。殺伐としたこの時代、さざれ石の前で多くの参拝者に両手を合わせてもらえればうれしい」と話した。
宮野宮司は「寄進していただき感謝の気持ちでいっぱい。深川さんの思いと同じく、多くの人の幸せと平和を願いたい」とお礼の言葉を述べた。
【さざれ石】学術的には石灰質角れき岩と呼ばれる。石灰質の作用により小さな石が集まって一つの大きな石になったものをいう。君が代の歌詞に登場する「さざれ石の巌となりて」には多くの諸説がある中で、お互い団結して協力し合っていこうという意味が込められているといわれる。年月をかけて成長することから神霊が宿る石とされ全国各地の神社に祀られている。